『青のフラッグ』第38話 あらすじとネタバレ感想~幸せは、歩いてこない

ジャンプ+にて連載中、KAITOさんの
『青のフラッグ』最新話が公開されました。
最新話はこちらから
前回の感想はこちら
「第38話」
文化祭の最中、太一とトーマの二人で
出店で食べ歩き。
持っている券を使い切らないと勿体ないと
あれやこれや買い求めるトーマ。

後で八木原さんたちと回って使えよと太一が気にするも、
野球部の試合が終われば時間が無いそうで。
生徒たちが行きかう中、食べ歩きを続ける二人。
でしたが、ふと太一が裏のベンチに行って食べようと提案。

一方その頃、ショッピングセンターで偶然鉢合わせた真澄と明希子。
荷物運びを手伝い、そのお礼にと一緒にランチに。

気候の変化で着られる服が無くなって
慌てて買ったら買いすぎちゃってと
お腹をさすりながら笑う明希子。
そのお腹を見ながら、赤ちゃんのお話へ。
今7か月との事で、6か月くらいから急に大きくなってと
明るく話します。

そういえばと文化祭の話題を振る明希子。
3年は自由参加だと答えると、
トーマは何も言わず普通に出て行ったから
知らなかったと納得。
受験生だものねと続ける彼女に対し、
話をしないのかと問います。

まぁ高校生の頃なんてそんなもんよねと続けようとした明希子でしたが、
喋りすぎたと自粛。
歳をとると親がやっていた嫌な事と同じことする様になっちゃってと
自らを諫めますが、
今だから見える事も有ると言葉を続けます。
高校生の時にしか見えない景色が有る様に、
今でないと見えない景色も有る。
どちらも知っているから、お節介と分かっていても口を出してしまう。

それは、と問いかけようとするも
口を噤む真澄。

その様子を困惑していると取った明希子が
突然グチリだしてごめんねと気遣うも、
更に失言。

心配されても安心されても受験生にはプレッシャーよねと
一人で慌てる明希子。
真澄ちゃんの夢ってとトークを続ける明希子を遮って、
改めて話をする真澄。
変な質問ですが笑わないで答えて欲しいと前置きしたその問いは。

学校の裏庭に移った太一とトーマ。
トーマは太一が持つクレープを一口ちょうだいと
返事も待たずにガブリ。

一口がでかいと文句を言う太一に笑ってごまかすトーマ。
彼を見ながら、お前のもよこせと
腕を引っ張りかぶりつきます。
不意に掴まれてドキッとするトーマに気付かず、
自分も可能な限り大きく一口。

遠くから届く文化祭の盛り上がりを聞きながら、
静かに座る二人。
ふと、進路相談はどうしたのかとトーマに尋ねます。
やっぱ就職?と問うと、色々考えたが後悔しない選択をしたいと
決まっている様ないない様な答え。
家を出るのかという質問には肯定。

野球部の先輩たちに誘われているどれかにしようかというトーマ。
大工や寿司屋、ラーメンに漁師などなど豊かなレパートリーに
想像を膨らませる太一。

どれも似合いそうだと言うと、
トーマは手に職系があこがれだったからさーと明るく返します。
その言葉を聞き、良いよなお前はとため息交じりに呟く太一。

だってお前将来に不安とかないだろ?と
尋ねる太一の言葉に反論しようとするトーマですが、
意に介さず太一は思う事を口にします。
何でも出来そうだしやれると思うし、
どこ行っても成功するだろう。
大体まず失敗してもいいやって思えるのがすごい。
自分の力で何とか出来るという自信があるんだろう。
一人では無理でも、周りが助けてくれて何とかなるんだろうと思う。
太一が思うトーマはそういう像の様ですが、
トーマ本人はそんなこと思っていない。

色々考えて不安しかない。
上手くいかない事ばかり。
それでもやらなきゃいけない。
何も出来る事が無いから、
とりあえず何かやらなきゃと思っている。

太一はそういう意味で言ったんじゃないと慌てて訂正。
悩みも苦労も辛い事もあるだろう。
太一自身、その理由の一つに当たるしと気を落とします。
それでも才能や人望に恵まれてるのは事実だろうと
念を押す太一に再度反論しようとするトーマでしたが、
その人望や才能で自分より幸せになれるんだろうなと言う彼の言葉に
固まってしまうのでした。
幸せ。
どんな状態が幸せか。
真澄の問いに対し、明希子は明瞭簡潔に答えます。

毎日笑顔でいられることかしらと続ける彼女に対し、
それはトーマ自身がですかと続けて問う真澄。

その笑顔が心の底から来る笑顔ではなく、
周りに合わせ作った笑顔だとしたら。
という真澄の言葉に、それは嫌ねと否定する明希子。
心の底から笑える環境であってほしいと願います。
しかし真澄は、周りの大切な人たちが笑顔でいてくれたら幸せだと
視線を落としたまま口にします。
自分の事で迷惑かけたくない、悩んで欲しくない。

後悔と葛藤の入り混じる様なその言葉は、
彼女自身の悩みでしかなく。
親の安心とは何なのか。
何の苦労もない生活とは。
彼女の言葉を聞いた明希子は、
その目をしっかりと見据えて尋ねます。

問われた真澄は覚悟を決め、
自らの苦悩を告白します。
私は好きになる人が、普通とは違うんです。と。

太一が言う「幸せになる」という言葉に反応し、
立ち上がったトーマ。

気にせず食事を続ける太一の座る椅子に手を掛けながら、
オレが今一番願う幸せって何だと思う、と
質問を投げかけるのでした。

感想
前回、太一とトーマの文化祭デートとなり
ランチタイム。
人に酔うとの理由で裏庭で二人きりになりましたが、
これはもう鉄板コースやないかい(笑)
まぁ太一さんにトーマの気持ちなんて慮れる訳も無く、
本当に思うがまま素直に言ってるだけなんでしょうけども。
隣の芝生は青く見えるというか、
スポーツ出来て部長で人気有ってモテてと
良い所ばかり見えてる太一からすれば
その明るい世界でそのまま幸せになっていくのだろうなぁと
思う気持ちも分からんでもない。

自分は彼女や周りに流されて「自分」も持てない様な人間だから
余計に眩しく見えて、自覚なくも僻む様になっちゃうのでしょう。
物語の始まりの時も、何となく疎遠になってたし。
そう思えばそういう話を直接明け透けに言える様になっているというのは
良い仲になってるんですけども、
トーマと太一の思う「良い仲」も違う訳でして。

太一の思う幸せというのも具体的な何かがある訳ではなく、
普通に働いて普通に結婚して、
苦労はあっても楽しく生きるみたいな感じな予感。
でもトーマの「自由に生きたい」という願いから続く幸せは
そういう安寧とは程遠く。

いざ太一に問うたトーマですが、
太一の思う「トーマの幸せ」を聞いたところで、
否定して自分の気持ちを明かせるのでしょうか。
正直なところ、現状どう転んでも
トーマ的にバッドエンドしか想像出来ないので
次回以降が期待半分不安半分ですよ。
真澄さんも思いっきり明希子に言っちゃってますけど、
大丈夫なのかしら。
「言ってないって事は信じてないって事」
だとトーマに言っていましたが
明希子は信じるに足りたのか、
それとも我慢が出来なかったのか。

流れているのが汗なのか涙なのか、
優等生であろうと努力する中のその葛藤は、
「普通」でないということは
想像も出来ない重みになっているのだと思います。
周りの笑顔を幸せとするというのも
自分を隠して犠牲にして行くという考えですし、辛いだけですよ。
明希子との話で心が少しでも軽くなればとも思いますが
結局一世一代の大勝負はこの後待ち構えてる訳で、
それを伸るか反るかも本人次第ですが
大切な人の笑顔と自分の気持ちを天秤にかけてどうするか、
こちらも気になる所ですね。
次回から月一更新になるとの事で、次回更新は12月19日。
ココでその引きは厳しいわー。
この期待と不安を一か月我慢しろと。
まぁ月一更新という事は、
間に番外編を挟んだりしないという事でしょうし、
全然待ちますけどね、1か月くらい。
『マテリアル・パズル』なんて10年ほど待ちましたからね(笑)
スマホアプリ「ジャンプ+」では
過去最高の盛り上がりを見せそうな『青のフラッグ』の
過去話も配信中。
コミックももちろん買ってほしいけど、
気軽に読み返したい方にはオススメです。