『青のフラッグ』第39話 あらすじとネタバレ感想~10代が抱えるマイノリティの悩み

ジャンプ+にて連載中、KAITOさんの
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「第39話」
盛り上がる文化祭。
その一角、静かな時間が過ぎる中庭。
オレが今一番願う幸せって何だと思う。
そう問いかけながら詰め寄るトーマに、
只々呆然とする太一。

その頃、二葉は部室で時計を見やりながら
もの思いに耽っていました。

そこを級友に指摘され慌てるも、
反撃出来ず茶化される始末。
しかし、そんな中一人がひょんな事を言い出しました。

二葉取られちゃって元気ないもんねと盛り上がる二人。
あの子あぁ見えて周りに気つかってるしと
真澄を評価する二人はお客さんに呼ばれ退散。
彼女たちの言葉に、二葉は考え込んでしまうのでした。

トーマに迫られ、
その真剣な表情と近さに困惑する太一。

茶化す様に冗談ぽくツッコむも、
彼の表情は真剣なまま変わらず見据えてきます。

その真剣さに気圧され太一が戸惑いの表情を浮かべると、
それに気づいたトーマは、ゆっくりと体を起こしふと微笑みます。

そろそろ試合始まるし行くわ、と鞄を取り歩き出すトーマ。
太一が慌てて呼び止めるも
ふり返らずに立ち去ってしまいました。
彼の真意には気付かずとも、
しかしながらその不機嫌に納得がいかない太一なのでした。
一方その頃、真澄の真剣な悩みを聞いた明希子は
その言葉を反芻していました。

暗く、重い雰囲気を纏う真澄を見ながら、
その言葉の真意を問う明希子。
性的指向か、性的嗜好か。
尋ねた後で、問題はそこではないと自分で遮る。
改めて、真澄に尋ねる明希子。
他人と違う、自分が嫌なのか。
その問いに対し、分からないと答える真澄は
逆にどう思いましたかと尋ね返します。

普通も何も、人の好みなんてバラバラ。
素敵と思う物も人それぞれ。
しかし、そんな彼女の言葉も真澄には辛く。
大多数と共感出来た方が生きやすい。
そう、彼女の言葉を否定します。
「個性」を強調しようと、結局「和」を求められ、
周りと違えばそれだけでコストがかかる。
同じでなければ共感出来ない。
共感出来なければ理解出来ない。
理解出来なければ嫌悪される。
他との違いを貫くには生きづらく、
自他ともに嫌な思いをしつづけなければならない。
だったら。

真澄の独白を聞いていた明希子ですが、
相手に合わせるのも大事だけど、完全に一致する事はないと返します。
相手に合わせて自分を変えても誰かとはまた違う訳だし、
人は一杯いるから、嫌う人もいれば馬が合う人もいる。
ほっとくではダメなのか。
真澄の生真面目さに、敢えて投げかけた明希子。
真澄自身、関係ない他人がどう思おうと構わないとは思っているのです。
が、今いる大切な人は別。
確かに、大切な人に理解してもらえないのは
怖いし悲しいし嫌なもの。
とはいえ、真澄の言葉から一つの気持ちをくみ取った明希子。
しかし、それは見当違いだった様で。
何かを誰かに告げたい訳ではなく、
それでも苦しんでいるという彼女。
その苦しみは何から来ているのか。
片想いが?
言えずにいる事が?
気付いてもらえない事が?
いずれも否定する真澄ですが、次の言葉で言葉に詰まります。
明希子の言葉が胸に刺さり、
途端に表情を変える真澄。
崩れ落ちそうなその表情を見た明希子は
彼女を救う言葉を投げかけるのでした。
私にも親友にも夫にも言えない事が沢山あるわよと
途端に朗らかに語り始める明希子。
墓まで持っていこうと思う物もあれば、
ただ何となく伝えていないことも有るし、
忘れてしまったものも有る。
誰だってそんなものだと明るく話す明希子。
と、私は思うけどなぁとあくまで個人の意見ですと
話を続ける彼女。
でもあまりニッチな嗜好だと
お仲間見つけるのもドキドキするわよねと茶化し始める明希子に対し、
真澄は難題を突き付けます。
それをその子にも言えますか、と。
お腹の子にも、夫である誠也にも、義弟のトーマにも、
例え理解出来ない嫌悪するような嗜好を
持っていたとしても持つとしても。

その問いかけに対し、
明希子はゆっくりとほほ笑んで答えます。
その問題は、あなたが抱える問題じゃない。
でも。
と反論しようとする真澄を遮って、
明希子は「自分たち」に出来る事を伝えます。

その選択に相手がどんな評価を下すか、
それはその相手が抱える問題。
たとえ相手がどんな大切な相手だろうと、
どれだけ悩もうと努力しようと、
それはどうにもできないことなの。

野球部の試合を一人冷めた表情で見つめていたトーマは
その後マミたちの部室へと顔を出していました。

評判が良かったので使い捨ての用具が切れてしまい、
早めの店じまいとの事。
隣の模型部も既に閉まっていますが、
あちらは人気が無さすぎて遊びに行ってしまったそうで。
そんな話をシンゴとしていると、
マミが声をかけてきました。

さっきも断ったろうと怪訝がるも
一回だけだと根気強く迫るマミ。
メンズメイクといって男性用のメイクを施すから
絶対格好良くするからと退かないマミに辟易するも、
シンゴがやらしてやればと助け船まで出す始末。

彼を見据え、目線を下に落とすと
期待に目を輝かせるマミ。
仕方なし、トーマはその提案に乗る事にするのでした。

感想
月一更新になって1回目、
やっぱ長いわ!待たされたわ!
そしてまた待たされるわ!
続きが気になって仕方ないわ!
あと最後のページのマミが可愛すぎるわ!

「幸せ」について本気出して考えさせようとしたのか、
太一に迫ったトーマくん。
しかしながら彼の困惑から感じ取ったのは
やっぱりそう上手くはいかないんだろうなぁという結論でしょうか。
以前より真澄に触れられてドギマギしたり
マミにちょっかい掛けられて顔赤らめたりしている太一くん。

が、自分が迫っても当惑するだけ。
更にはかすかに怯えすら見えてしまってはもう救いがない。
まぁもちろんそう理解した上で行った行動なのでしょうが、
どうにも報われない。

ただ太一も彼がイラついているのには気付いた様で。
そういう所気付く辺りは幼馴染ですよね。
まぁ苛立ちが有るとすれば
太一の無責任な発言に、というよりは
敢えて行動を起こそうとした自分自身に、なのでしょうけども。
最終的には何かを掴まれてそうなシンゴに背中を押され、
メイクアップまでしちゃうことに。
まぁメンズメイクという事で、
彫りを深く見せたり目をハッキリさせたりという程度でしょう。
ジャニーズの山田涼介くんとか京本政樹さんとか
そういうメイクしてる俳優さんも多くいますし、
世間的には浸透してそうなモノでもありそう。

『仮面ライダー000』のアンクとかはああいうのは
メンズメイクとはまた違うのかな?
男性にするメイクだっていうなら
ガゼットとかDir en greyみたいなV系も該当しちゃうし
色々と細かい枝分かれはしてそうな感じがします。
まぁ深く追求してどうなる訳でもないのですが(笑)
そんなメイクをして太一の心証が変わるという訳ではないでしょうが、
そうやって変わる事で化ける事で、違う自分に踏み出せるかもしれない。
そんな期待がどうにもこもってしまいます。
一方その頃、マジトークに移行した真澄さん。
明希子さんものらりくらり躱したりもせず、
真摯に受け止めてくれています。

性的嗜好(sexual preference)は嗜好、
つまり自身の選択などにより付いた後天的性質。
サド・マゾ・ロリ・ペド・ネクロ・エフェボなど
どちらかといえば自発的な趣味嗜好。
性的指向(sexual orientation)は逆に先天的な性質。
好きになる対象が男性、女性、どちらも好きになれない、
感性でそうなっている場合。
LGBTとかそういった方々を指します。
まぁLGBに関しては嗜好の方もいるでしょうけど。
一つ勉強になりましたね。
ともあれ、そういう話になった時に
こういう考えに至るっていうのは
ある程度そういう知識を知り得てないと、という気もします。
もしかして明希子さんはトーマの事にも
何かしら気付いているのでしょうか。
「みんな違ってみんな良い」とは自分も思っていますが
真澄の言う「周りと違えばそれだけでコストがかかる」というのも事実。
違っても良いとはいえ、生きにくさ暮らしにくさは出て来るもの。
オタク的に言えば「マイナーキャラはグッズが出ないし出ても数量限定な上何故か高額」とか
メジャー好きと比べ苦労の絶えないモノです。
真澄さんの悩みをそんな趣味と同じにしては失礼ですが。
また、そういう事を気にしない人が多くいるとは思いますが、
いざ生まれてきた我が子や家族に言われるとなると
考えてしまう人もいるのではないでしょうか。
自分自身は…まぁ別に良いんじゃないかなぁと思うとは思いますが。
ただ世間的にはまだ法整備とか進んでないから
大変だと思うけど頑張れよってくらいで。
我が道を行く様に「個性」を強調出来る人間もいれば、
それが出来ず隠して恐れる人もいる。
特に日本は同調圧力の凄まじい国ですから
開放的な海外に比べると潜在的なそういう方々は多い事でしょう。
自分が「普通」な人に「普通じゃない」感情を抱いていて、
それが良くない事だと思う真澄。
それ自体が自分自身も相手も傷つけると思えば
余計にその感情は外に出す事も出来ません。

「他人に迷惑を掛けなければ何をしても良い」とも思いますが、
「他人への迷惑」とは何を指すのか、どこからを指すのか。
ハッキリとした線引きが無い人間関係だからこそ悩む訳で。
そんな悩みを抱えている真澄の救いとなるのでしょうか。
明希子さんの言葉は綺麗事と言えば綺麗事ですが、
真澄がそう言い返す事は出来るのでしょうか。
本当は綺麗事が良いんだもん。
しかしながら少しずつ変わっていく状況。
少しずつ変わっていく感情。
思いを抱え悩む真澄とトーマ。
彼を、彼女をその二人とは違えども気にかける二葉と太一。
色んな人の心にグサグサと刺さる様なお話の連続となる『青のフラッグ』。
彼ら彼女らの行く末の続きは年明け1月16日、また1か月後です。
首を長くして待ちましょう。
スマホアプリ「ジャンプ+」では
そんな『青のフラッグ』の過去話も公開中。
「真澄に触られて太一がキョドッたのって何話だっけ…」という方は
コインを使って過去話を見返しましょう。
コミック買ってでも良いですよ(笑)