『サクラコード』第十二華-二 あらすじとネタバレ感想~ヒダルに憑かれて腹が減ったら、とにかく何か口に入れるべし

COMIC GUMにて連載中、みなぎ得一さんの
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第十二華-二(第42話)
トラックに襲い掛かってきた送り狼を一撃で撃破した石長。
鹿葦津は彼女の身体を心配しながらも、暴れてる彼女を見て一安心。
安心したらお腹が減ったと気の抜けたことを言う福太郎に笑いながらお店を探そうかと言っている二人の間に、新たな影が現れるのでした。

満善車王の操縦席に音も無く現れ、静かに二人の肩に触れる怪異。
触れられた二人に異変が起こり始めます。

その頃、外にいる石長の元にも新たな怪異の姿が。

送り狼を組み合わせた様なその体を起こしながら現れる怪異に対し子供を使う戦術がそもそも間違いじゃないのかと口にしながら、その返答すら待たずに【磁極拳・風鎌】を打ち込みます。
が、振り下ろした腕が怪異に触れるも、その体から溢れる油で攻撃が通らない。
驚く石長の首を掴みながら、怪異が一言。

操縦席では触れられたことで異変が生じた二人が苦しみの余り呻き声をあげていました。

空腹どころではなく、餓死してしまうかと思えるほどの急激の飢餓感。
満善車王のシールドをすり抜け現れたその怪異に脅威を感じる鹿葦津ですが、怪異は面を付けた顔を彼女の方に向け、ゆっくりと語り掛けてきました。

自らを「御斎」と名乗った怪異、人間が呼ぶ怪異名としては「ヒダル」。
餓鬼憑きの一種であるヒダルガミとして現れたそれは二人に飢餓感を与えながら、邇邇芸に仕える<亜九面>の一枚だと自己紹介。
佐久夜比賣と一夜婚をした祖神の名を聞き戸惑う福太郎。
その心中を読んだのか、察しが良いなと御斎は説明を続けます。
<亜九面>とは邇邇芸命のお供として降り立った九柱の神の任を亜(継)ぎ、邇邇芸命に仕えるべく選ばれた者たちだという。
自分たちが倒した面の怪異たちの事か、と、改めて問う鹿葦津。
彼らが攻撃してきたからだと弁解をしますが、その説明に来たのだと御斎は遮って語ります。

“人間の部分”を殺せば昔の姫神に戻ると考えておいでだとさも当然の様に宣う御斎。
何を勝手なと文句を口にしながら、福太郎は自らの手に書いた文字を舐めます。
重たい体を起こしながら、邇邇芸のその忖度しない行動に苦言を呈す福太郎。
自らの力場の中で動ける人間に驚きながらも、神のご意向に意見するならこのまま餓死させても良いと彼に忠告。
が、その返事と言わんばかりに福太郎は筆を振るい、
御斎の腕に文字を書き込みました。

素書きした文字をペンにコピーして腕にペースト。
行き当たりばったりだが上手くいった作戦で、書いた文字通り御斎の動きが止まります。
その隙に福太郎は手に米の字を再び書き、鹿葦津に食べるふりをする様に指示。
それにより鹿葦津の呪いも解け、起き上がることが出来ました。

自らの手にかかれた文字を打ち消す御斎。
それを行った福太郎を、悲願達成の要として再認識するのでした。

外では送り狼の親玉に掴まれたままの石長が苦し紛れにパンチを繰り返しますが、油に阻まれ効果が有りません。
彼女の徒労を笑う怪異ですが、あくまでこれは確認作業の様子。

良い事を聞いたと、石長は満善車王にPA-M01の射出を指示。
何だと問う怪異に対し、さっきから試しているがほんのちょびっと足りないと答える石長。
だから、とポケットに入れていたハンカチを上に放り投げます。

その布を見て白旗かい?と茶化す怪異。
そりゃ好都合と返す石長が指示したPAM-01・芝浦がその後ろから飛び出し、彼女の右腕に電磁合体。
降りてきたハンカチが怪異の体に重なったその一点を目がけ、ドリルを打ち込みます。

【ドリル流太速拳・突急】。
ハンカチを間に挟むことで油をふき取り、その体に深々とドリルを突き刺すことが出来ました。

その衝撃により怪異は油に火が付き爆発。
操縦席の御斎にもその死が伝わり、「昆陽」がやられた事を認識。
最早これまでと退くことに。
鹿葦津に対し、あまり戦わぬ様。死なぬように。と忠告をしながら、体を煙に変え換気口から去って行ってしまいました。
突如現れた敵が残した言葉に不穏な空気を覚えながらも、
その空腹を我慢出来ない福太郎なのでした。

感想
送り狼と共に現れた新たな<亜九面>。
御斎の口から彼らの存在と目的がついに明かされました。
中々ホラーチックな登場で肝を冷やしましたよ。
薄暮といい彼らはどうにもそういう登場がお好みの様で。

確かに前回邇邇芸のお供達を「九面」って言ってましたね。
その時点で亜九面との関係が示唆されていました。

とはいえ、その目的たるや勝手すぎる内容で。
そもそも鹿葦津は神人〈ミキサー〉であるからして、佐久夜比賣と魂が同化している訳で人間の部分を殺せばあわせて神の部分も死んでしまうんじゃないかなと。
百足と武田甲陽の様な神歩〈タンデム〉なら、そうすることもまだやりやすいでしょうけど。
しかも復活させるっていっても、お前の身勝手すぎる発言でガチ切れした嫁さんやぞと。
むしろアレが良いとか言い出すドMさんなのかな?(笑)

そんな邇邇芸さんに付き従う者として今回現れた亜九面、御斎と昆陽。
「御斎」は法事法要の食事、「昆陽」は伊丹の地名。
アスクレペイオンで現れた二面は「薄暮」「払暁」と時間を表す名前でした。
御斎もある意味時間ですが、昆陽は地名ですし面がお面ぽくなくて他と違うっぽいし…もしかしてコレ素顔なのかな?
単に御斎の手下的なアレですかな。
でも最後顔が面だけ残っている様に見えなくもない。
次回食事ながらその辺り話をするのでしょうかね。

御斎さんはヒダルガミということで、西日本に古くから伝わる餓鬼の一種。
地方によっては「ダリ」とも呼ばれ、「だるい」の語源になったとかならないとか。
何にせよ亜九面の方々はその名通りのルールが通用する怪異さんで良かった。
大太の僕使みたいにルール通用しませんじゃあ助けて水木先生と叫ぶしかなかったろうからね。
<九面>は邇邇芸と併せ九柱の神々でしたので、彼を除けば八柱。
今回の御斎とアスクレペイオンでそれに属した初雁、既に倒した薄暮と払暁を除けば後三から四体。
河太郎も面してましたしアレもそうだとすれば後二体くらいかな?

それでもまだまだ話が盛り上がりそうな残り数、福太郎はいつ足洗邸に帰れるのでしょうか。
結局まだ義鷹とは合流しませんしね。
てっきり百足戦で登場して大怪獣バトルかと思ったんですけどそうでもなかったし。
同じ大怪獣系のアイム=アジ・ダハーカ戦はあれだけ長期に渡ったのに、百足に至っては1話で撃破しちゃったものね。
今回の如意機の応用といい、福太郎の実戦能力も富んできて更なる戦いも始まりそうな今回。
他の<亜九面>に初雁医師、義鷹と共に飲みに行った百獣爺に放置してきた国光彦。
更には福太郎の如意機を狙う金屋子と展開は盛りだくさん。
まぁ国光彦って邇邇芸の別名だし、ブチ切れ放火出産をタバコ吸って見てる後ろ姿からしても彼がそうなんでしょうけど。

次回もどういった展開でお話が続くのか楽しみです。
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