『灼熱カバディ』第114話 あらすじとネタバレ感想~振るい振るわれ振り振られ

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの
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第114話【ふるい】
日射しの照りつける暑い夏の日。
コンビニの前でアイスを奪い合う小学生。
そんな往来を並んで歩く「北豊陣闘部」の文字を背負った青年たち。
歩きながら涙を流す彼らに、小学生たちはただただ困惑します。

彼らの去った会場では、前回ベスト4だった奏和のキャプテン・六弦と英峰キャプテン・神畑が揃い踏み。
世界組であり、前回の成績も含め何かと注目を浴びる彼ら。
本人たちからすれば偶然会ってトーナメント表の前にいるだけなのだが、周りがざわついて仕方ない。
そっちは順調か?と尋ねる神畑。
問われた六弦は笑みを浮かべ、自信を持って答えます。

ピリついた空気に戸惑う周囲を他所に、同じことを聞き返す六弦。
それはもちろん順調だ。
そう言いかけた神畑でしたが、ふと視界に入った物を見入り、言葉が途切れ途切れになってしまいます。

その目線の先にはBブロックのトーナメント表。
能京高校が2回戦突破を示す赤いライン。
次なる戦いに向け緊迫した空気を纏いながらも、かつてのチームメイトの邁進を素直に喜ばしく思う二人なのでした。

一方その頃、試合が終わるや否や足早に帰ろうとする安堂。
女子と外園が勿体無いと引き留めます。

ランチでも挟んでと続ける外園に深くため息を吐く安堂は、宵越に触発されそんな気分ではありません。

そこまで言うなら仕方ないと残念がる外園。
彼の気迫が気になるローガンに彼の素性を問われた女子は、甲子園投手だと返答。
全く存じ上げなかった二人はその事実に驚愕してしまうのでした。

そしてその頃、久納は亜川を連れて昼食。
蕎麦屋でテーブルを挟み、向かい合います。

久納の気遣いに対し自分たちで敗因をまとめてみたいと言われたと返す亜川は、大和君のおかげでチームの精神も強くなったと彼らの成長を感じている様子。
続け様に、誘われた理由を尋ねる亜川。
戦略という一点においては、勝った気がしないのだと久納は答えます。

引っかかるのは何度も時間稼ぎに付き合ってくれたこと。
律心は犠牲を払ってでも人数を整えた方が良かったはず。
そう分析する久納。

彼の問いかけに対し本当に何故だか分かりませんかと、亜川は怒りを込め問い返します。
頭を巡るのは、自らが与えられた苦痛と苦悩。

自分の様な人間がいなくなること。それこそが自分の学び教える理由。
拳を強く握る彼に対し、久納は心当たりがないと謝罪を述べるしかありません。
だから私は昔から栄司君が嫌いなんです。
そう理解し合えない事を改めて伝えるも、久納はその言葉を悲しそうに受け止めるだけ。

知っている。
彼は天才ながらも人に興味を持ち、鍛錬を重ね、共に成長してきた。

彼の実力を尊敬し、学び、見せつけられてきた。
屈託なく、いつも接してくれていた。
久納栄司という人間を知っているからこそ、余計に気に入らない。

何にせよ敵に塩は送るのは止めにすると突っぱねる亜川に対し、久納はココ割り勘だからねと子供じみた抵抗をしますが、暖簾に腕押し。
しかし、塩を送らないと言いながらも作戦は人に話さない方が良いと忠告する亜川。
この先も化け物ぞろいだと言うその言葉通り、順当に勝利を重ねるライバルたち。

紅葉、奏和、英峰。
かつて能京と競い合った3校が揃って2回戦を突破。

全員が水堀先輩や王城先輩の様に甘くはない。
食後のデザートを口に運びながら話を続ける亜川。
カバディは楽しむことは二の次だと考える監督もいるという言葉に、二人は同じ人物を思い浮かべます。

その人物が監督を務める、高校カバディ日本一・星海も2回戦を悠々と突破。
試合を終えクールダウンしている所に現れた突然の来訪者に気付いた冴木は、あの律心に勝ったのかと彼らに問いかけます。

星海のブロックまで見学に来ていた能京。
逆に、ウチの相手をよく知ってるなと聞き返す井浦。
冴木は全部頭に入ってると自慢気に言いますが、世界組のいる学校だから注目しているんだろうと推察。
何にせよ他ブロック、来る場所を間違っているだろう。
そう尋ねる冴木の後ろに残された得点板には、102対6という大差が表示されていました。
しかし、その上で能京は答えます。

その表情を見て、生返事の冴木。
かつての雪辱を晴らすべく、睨み合う宵越と志場。
部長である不破がその後ろから現れ、後で全て分かると冷淡に冴木たちに注意します。

立ち去ろうとする不破を呼び止める王城。
少し絞った?と尋ねると、変わらず淡々とその問いに答え、歩いていくのでした。

高校カバディ大会、2回戦が終了。
出場60校中44校が散り、ふるいにかけられた強豪たちの更に白熱する闘いが幕を開けるのです。
感想
古豪・大山律心を打ち倒し昨年の汚名を挽回した能京高校。
今回はその首を狙い日本一を目指すライバルたちにスポットが当たりました。
奏和、紅葉共に3回戦進出という事は、遂にこの2校がぶつかる訳ですな。
開始前から火花を散らし合っていた彼らでしたし、次の能京の試合も楽しみですがこちらも楽しみ。

メタ的にいえば能京は奏和、紅葉、英峰、星海のいずれかにしか負けない訳で、次も勝ち確定と思える相手との試合。
伯麗ISも大山律心も、その考えをさらに上回るキャラクター性や展開で盛り上がってはいましたが。
しかしながら、ライバル対ライバルと言うのはどちらが勝つのか全く想像がつかないから、どんな試合になるのか予想がつかない。
最強の二年生を決める勝負の一端が遂に始まるのですよ。
能京との試合以降さらに強くなった紅葉に、能京戦と異なりフルメンバーで闘う奏和。
どっちが勝ってもおかしくない名勝負になりそうです。
…でも多分最後の最後に六弦か高谷が決めて紅葉が惜敗する予感。何となくですが。

久納は打ち倒した亜川と早速ランチへ。
あの流れからよく誘って同席出来るな。
試合前もあれだけ煽りあっていたから犬猿の中かと思いきや、お互い認め合っているっていうね。

常に亜川が痛感し続けてきた凡人と天才の差。
エースとして出場し続ける人間からすれば、踏み台となるチームメイトの苦しみなど分かるまい。
全員で一丸となるというのと、犠牲を出すのは違う話。
大の為に小を切るとは言いますが、小側の人間からすれば「切られなければならないのか」と苦悩するのも分かります。
「天才と凡人の戦い」なんてというのはスポーツマンガやバトルマンガでよくある展開。
凡人側が一矢報いる展開がまた心打たれるんですよね。
『エアマスター』の「悪いが一秒だ」のくだりとか。
しかしまぁそれを選手でなく監督でやるとは。
しかも久納自身は亜川に好意を持っているだけに、その差がまた悲しい。
とはいえ、つまりはお互いに認め合ってもいる訳で、良い様な悪い様なくすぐったい関係。
何だかんだ塩送りまくってますしね、亜川も。
そんな彼らの甘味タイムはさておき、能京は星海に宣戦布告。
今のオラオラな彼らを止められる者はいるのでしょうか。
冴木や志場も何だかんだ彼らを気にしてるようですし、「王城のワンマンチームでなくなった」という脅威は十分な様子。
不破からすれば全て同じの様ですが、王城の質問にしっかり答える素直さがちょっと面白い(笑)

亜川の口から王城「先輩」という言葉が出ましたが、お父さんは監督してるんでしたっけ?
世界組インタビューの時かに王城に対して「親父さんみたく云々」っていう話が有った様な無かった様な。
これはコミックを読み返さねばなりませんな。
そんな色々と気になる要素が膨らんでいく『灼熱カバディ』の次回更新は4月2日。
試合はもう少しお預け、次回は学生ならではの問題とぶち当たります。
スマホアプリ「マンガワン」ではこの先が気になる最新話のその先が先読みで公開中。
亜川が何故パフェを食べているのかを描いた書き下ろしのちょい足しも要チェックです。