『灼熱カバディ』第119話 あらすじとネタバレ感想~言葉にできるなら少しはましさ

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』最新話が公開されました。
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第119話【消えた「なんとなく」】
奏和高校部長で世界組の六弦の攻撃を凌いだ紅葉高校・右藤が口にした特訓の名、
その名も「超高性能攻撃マシーン練習」。
その「超高性能攻撃マシーン」本人は笑ってごまかしますが、予想以上の成長に困惑するしか無く。
合宿で成長したのがウチだけなんて都合よくいかないと苦笑いを浮かべる畦道ですが、
宵越は守備からすればそっちのが驚きかと、別の事が気になって仕方ない様子。
攻撃は再び紅葉・佐倉。
彼の変化を感じつつも理解に至らない宵越は、その一挙手一投足を逃さぬ様注視します。
六弦を中心に鎖を繋いだ3人と対峙する佐倉。
その一人が離れ向かうタイミングに合わせ、佐倉の死角からも栄倉が攻め込みますが、
佐倉はその動きを読んでいるのか、突如振り返り手を伸ばしてきます。

死角にも不意に手を出す佐倉、その正確さは変わらず。
「なんとなく」で行っているという本人にとっては世界がどう見えているのか。
彼の反応を分析しようとする水澄たちを知らず、当人は攻撃を続けます。

佐倉の視界に捉えた様々な情報。
目線を外す六弦、踏み込む力の方向、床の影、向かってくる守備。
一つに留まらないその情報を把握し、その先を予測した行動。

「なんとなく」先が見える世界。
佐倉の見えるこの世界には文字が無く、他人に説明も出来ず上手く出来ても達成感が無い。
しかし、右藤によりその世界は変わった。

練習時に行っていた事、それはその「言語化」。
何故読めたのか、右藤はその動きのたびに佐倉に確認をしていました。

歩幅が狭かった、目線や靴のシワ、重心の変化。
「なんとなく」目に入る情報から予測し、動けていた佐倉のセンス。
それを全て理屈に変え、自身へと繋げた。
一瞬を競うカバディでは、その迷いの無さが大きな変化となる。

予想するのは「理想的動作」の為、素人の動きは逆に読めなくなるデメリットはあるが。

強豪の強さ、上手さは皮肉にもそこに合致。
自陣へと戻った佐倉は2点を取得。
その後も再び六弦が攻撃に出るも、高谷を戻したくない紅葉はボーナスを犠牲にして引いて守る。
佐倉は少しずつ奏和の守備を削る。
六弦は3度目の攻撃でもボーナスしか奪えず、2対5。
奏和のコート内は六弦と片桐の二人となり全滅圏内に。
パワータイプである六弦なら無理矢理でもタッチ狙うべきじゃないのかと
歯がゆい宵越。
井浦は王城へのこだわりなのか、それとも他に何かあるのかと考えます。

キャントを唱え、攻撃に向かう佐倉。
彼に対し、臆病者が変わったものだと六弦が語りかけました。
臆する事もなくなり、王城の模倣だけでもなくなった。
それが佐倉学か。
佐倉本人を見据えた六弦。

その一言で感じるプレッシャー。
やはりこの世代は違う。
そう思いながら佐倉は加速します。

幸いにも六弦は過去に経験のある選手。
力が有る分シビアだけどタッチは不可能ではない。
右藤はそんな佐倉の猛攻に期待を込めます。
正直佐倉の読みに対応する手段はある。
気付いている人間もいるだろう。

そんな右藤の心配も今回は大丈夫。
何故なら、奏和には「頭脳」が欠けている。
死角から攻める片桐。
けれども佐倉はそれも冷静に対応します。

が、そこからの彼の動きが佐倉にとっては予想外でした。
佐倉の手に触れる片桐の頬。
触れたにもかかわらず、その勢いは止まりません。

フェイントを読んだのか。
彼が奏和の「頭脳」だったのか。
『灼熱カバディ』第119話より考える暇も与えず、しっかりと腰を掴む片桐。
だが、佐倉にはパワーが有る。
振り払い帰ることが出来る。
しかし、それは片桐一人との戦いであればの事。
比較にならない規格外が、彼の帰陣を阻みます。

感想
カバディ高校大会、奏和高校対紅葉高校。
初撃で高谷を追い出し、世界組・六弦の攻撃も凌ぐという快挙を成し遂げた紅葉。
「超高性能攻撃マシーン」=王城の効果たるや恐ろしいものが有りますな。
そりゃ毎日それに鍛えられている能京も強くなるってもんですよ。
佐倉であればそれに近しい特訓を模倣出来る上に、王城と違ってパワータイプにもなれますし
さらに幅広い訓練に活用出来そうな気もする。
とはいえ、能京より紅葉より六弦の方がそのマシーンの練習をこなしていたんですけどね(笑)
死角にすら対応出来る佐倉の反応速度。
「耳」の良い高谷に対し、佐倉は「目」が良かったと。
視界に入る様々な情報から「何となく」察して行動する。
それだけでもすごい事ですが、「何となく」ではそれが良いのかという迷いも生まれるのも事実。
言語化し自身の中での理解を早める事で、その反応も更に速度を上げると。
相変わらず右藤の縁の下の力持ちっぷりが凄い。
「言語化する」というのは思考や感情、気持なんか何でも重要ですよね。
「何となく出来ている」事が凄い事で、それが何故出来ているのかを考えて落とし込むのって本当に大事。
そういう事が出来ずに「ガーってやってブワーって入れたら良いねん」みたいな説明をする人は上司や教育係に向いてません。
「六歳の子供に説明出来なければ理解出来ているとは言えない」と昔の偉い人も言っていましたしね。
「敢えて言わない」というのも時と場合に応じて必要ですが。

そんな感じで、かは分かりませんが、自身の中に落とし込む思考処理を行えるようになった佐倉。
王城と違って片目だけが変わるのはまだ両目が目覚めていないのか、
それとも左脳側で視界を処理しているという事なのか。

最終的にこの戦いで両目とも目覚めればテンションは最高潮でしょうな。
良く見ると黒目部分が違うから各々のイメージで描かれてるんでしょうけども。
片目だけというのもこれまた厨二心をくすぐられますし。
出来れば王城とその目で向かい合ってほしいものですが、そうは問屋が卸しません。

じりじりと戦力を削り2人にまで追い込んだ紅葉。
でしたが、奏和にしてみれば敢えてそういう戦況を選んだとも言える。
何故なら守備が3人以下の時には「スーパータックル」が有りますからね。
攻撃を止める事が出来れば一挙2得点!
3rdレイドと合わせ追加された新ルールが遂に活用される気がする。

一人返ってくるだけなのですがそれで高谷が戻れば戦力のバランスが変わります。
佐倉が落ちてしまっては恐らく右藤が攻撃になるでしょうけど
それを倒して再度2得点も良し、
高谷が一気果敢に攻めて大量得点、更に全滅まで!と良くも良しと
様々な攻め手が考えられる紅葉ピンチな展開になりかねない。
まぁ右藤も右藤で出来る奴ですから、こっちもそうは問屋が卸さないという話ですが。

右藤の言った「頭脳」の不在……単純に失礼だろ(笑)
佐倉のフェイントに対して怖けずに突っ込んだ片桐が「頭脳」なのかと困惑していましたが、
頭脳派は顔からツッコんでいったりしないと思うなー。
これはこれで失礼だけどもどうにも脳筋なイメージのする方です。
しっかりと佐倉を捕らえた彼が次回どう活躍するのか。
それにあわせ後ろに現れた六弦ですが、圧が凄すぎてスポーツに見えない。
コレこのまま肋骨の隙間に抜き手で刺し込んで内臓ごといっちゃうヤツですよきっと。
次回更新は5月14日。
佐倉は六弦の攻撃(守備)を凌ぎ勝利へと近づくことが出来るのか。
どう見てもパワータイプな二人を相手にどう戦うのか。
次回も気になる展開です。
マンガアプリ「マンガワン」では、そんな六弦の攻撃(守備)の結果が先読みで公開中。
六弦のガタイに対する著者の見解が書かれるコメントや描き下ろしのちょい足しも有りますので、
是非こちらもご覧ください。