『青のフラッグ』第44話 あらすじとネタバレ感想~真剣10代しゃべり場inベッドルーム

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「第44話」
津吾に誘われ、彼らの元にやってきた太一。
何故か彩香と祥子に挟まれてベッドに座る形に。
すぐ手が出るし威圧するしと健助に忠告する二人ですが、
男同士で話をするから帰れと反論。
アタシらも言いたいことが有ると口論になりそうなその間を割って入る様に、
津吾が太一に声を掛けました。

一ノ瀬も聞いたんだろ?と尋ねるが黙ったままの太一。
そんな彼に津吾はまた、侘びの言葉を口にします。
だからなぜ謝るのか。
健助とトーマの喧嘩を止めなかったから、
結果話が大きくなってしまったと釈明。
太一をさておき、おめーが謝れよと健助に言い出す彩香。
大体なんでおめーがキレるわけ?と呼ばれた太一をそっちのけでヒートアップしそうな雰囲気。
トーマが皆に言ったのか?
太一の問いかけに、健助はしっかりと答えます。
マミにだけ話していたのを自分が勝手に聞いて、割って入ったのだと。
ありえないと鼻で笑う彩香。
太一は何でと続けて問いますが、健助からはシンプルな返事。

それに対して、バカらしいと言い返す彩香と祥子。
問いかけた太一を無視し、自己中で迷惑だと彼の意見を扱き下ろします。
男同士でとかオレからしたら正直キモいよ言い返す健助ですが、
その考え方がキモいと祥子がピシャリ。
男同士で気持ち悪いとかそういう発想になるのは
女相手にそういうことばっか考えてるからだと彼の意見を否定します。

トーマの好きな相手が男だからって、それで付き合い変わるのはひどくないかと問う祥子。
しかし健助には健助の持論が有ります。
これまでもマミに散々言われてきた「友達として付き合え」という言葉。
どれだけ言われても自分は女友達としてしか見れない、男のダチとは同じにならない。
どうしたって恋愛対象の女でしかない。
だからトーマにそういう目で見られちゃうって心配をしているのかと笑い飛ばす彩香。
祥子も自意識過剰すぎとせせら笑います。
あんただって女が全員そういう対象って訳じゃないでしょと返しますが、
健助にとっては女は全員そういう対象だそうで。

とはいえ、あくまで彼自身の考えでは女は「女」というだけで特別だという事。
見た目や中身がどうだとしても女であれば男と同じ扱いは出来ない。
オレは男として扱われない方がキツいし辛いと思うしよと説明する彼の言葉を
おめーはそうだろうねと一蹴する二人。
女扱いしなかったらそれはそれで最低だと言うんだろと言葉を返しますが、
その差が有るのがおかしいんじゃないの?と平行線。

生理現象で体調や精神的に変動したり不安定になったりもする。
女性ならではの部分を心配して気を遣う健助。
でも女が皆弱い訳でも無いし、男だって華奢だったりスキンシップが嫌いだったり弱い人もいる。
女子たちは主張します。
男と女の差は個体差レベルじゃない。だからスポーツだって男女別なんじゃないか。
健助の中には、「男」は同等で「女」は特別だという譲れない価値観が有るのです。

自分にとっては女はソレだけで特別で、違うからこそ好きになるし自分のモノにしたいし大切にしたい。
男は女に対して使う気遣いなく接せられるからダチになれる。
ダチだからそういう対象じゃないし、そういう対象じゃないからダチで。

自分の中の意見が上手く口に出せない健助。
とにかくだから、男同士でとか意味がわからねぇと
自らの意思を彼らしく、しっかりと口にします。
その意見に対し、おめーの価値観はどうでも良いと切って捨てる彩香。
訳分からないから否定するのはバカなだけだからやめろと言葉を返します。
嫌いとは「拒否」であり「拒絶」である。
実際に知る事で容認出来好きになれる可能性もあるかもしれないのに、
それを食わず嫌いで否定するのは分かる努力を放棄し拒絶して済ませているだけでしかない。
そもそも、ちゃんと理解できてる事なんてあるのかという話で
全部何かで読んだり聞いたり鵜呑みにして分かっているつもりで、全て理解している事なんて無い。
なのに否定して拒絶して癇癪を起こすなんてバカ中のバカだと、健助を全否定。

感情なんて本人にだってどうにも出来ないものなんだから
嫌なら関わらなきゃいいだけでわざわざ嫌だ嫌いだと言う必要はない。
「好き」という感情は良いが「嫌い」という感情は周囲にも不快しか与えない。
それを相手にぶつけて腹いせしたいだけだろう。
彩香の意見に、言えてると祥子も同調。
何故「オレと違うねウケる」で済ませられないのか、何故攻撃するのか。
自己中に考えず思いやりを持ち合えばお互い嫌な気持ちにもならない。
彩香の健助に対する一方的な物言いに、それを聞いていた津吾が問いかけます。

は?と彼の言葉に返す祥子。
津吾は今の話が、健助のこと訳が分からないとぶん殴っているのと同じだと説明。
さも自分たちは正しい側の人間ですと言う体で話しているが、
健助の言い分を完全に無視するのもおかしくはないか。
感情が自然に湧いてきてどうしようもないのなら、
嫌だと言う感情もそうじゃないのか。

そんなこと言ってない。
言い返そうとする彩香の言葉を遮り、話を続ける津吾。
「好き」は良い感情で「嫌い」は悪い過剰というのも随分雑なジャッジ。

感情自体に善悪は無く、誰か(じぶん)にとって都合のいい感情と都合の悪い感情なだけ。
その都度誰かにとって都合のいい物が正義となり、その都度都合のいい方にどんどん変わる。

同じじゃないしなぜ自分たちが責められているのか、そう反論する二人。
勝手に盗み聞きしてキレて殴り掛かった健助が悪い。
健助もいきなりじゃないし盗み聞くつもりだった訳でもない、
タイミングを計っていたら自分の事とか言い出したからと弁解しますが、どっちにしろ乱入するのがありえないとバッサリ。
それについては津吾も同意見。
しかし、だったらそれを糾弾するべきで、今非難していたのは健助の価値観になり別の話。
健助への思いやりは無いのかと擁護します。
だってトーマは何も悪い事をしていないのに勝手にキレて殴り掛かった。
彩香はそう考えていますが、健助にとってはそうしたくなるほど許せない事だったとは思わないのかと
津吾はその「感情」に理解を求めます。

誰にも迷惑をかけていないトーマのその気持ちと発言の何がそんなに気に入らないのか。
そう尋ねる祥子。
少なくとも健助には何の迷惑もかけてないし、関係もないじゃないか。
彩香の問いかけに対し、健助は関係あると言い返します。

答えに理解が出来ない祥子たちですが、津吾は健助はトーマが大好きだもんなと嬉しそうに納得。
結局自分の理想と違ったからかと小馬鹿にする彩香。
どれだけ心が狭いのかと祥子も糾弾します。
ただ恋愛対象が違うだけで、それだけで彼のいいところを全否定か。
普通そのくらいと非難し続ける二人に業を煮やした健助は、
怒鳴る様にその理由を言い放ちます。

何回か被害にあった彼は、だからこそキツいのだと心情を吐露。
予想だにしない告白に、息を呑む女子たち。

男相手でも女相手でもそういう事をするバカがいるのは知っているし
そういう奴が全員そうとも思ってはいないが
女だってそういう事されて男嫌いになったりするだろう。
だから健助は男を恋愛や性の対象として見る男が無理だった。
しかし自分自身が男である以上、ダチも男であって、だからダチは。
また、自分の言葉が堂々巡りする健助。
でも結局トーマは関係ないよねと尋ねる祥子。
トーマがそんなことするわけないと彩香も続きますが、それ自体は健助も重々理解している。
しかし、それならお前ら女子は自分たちの周りの男に対して、
女が性対象だという男全員に対して100%無警戒でいられるのか。
友達だから、知り合いだからというだけで一切男として見ていないのか。

そのタイミングで、何故か太一を問い詰める健助。
言われた二人もつい、間に座る太一を見つめます。

その流れに笑いを堪えられない津吾。
今のは違う、ズルくないかと彩香は慌てて言い繕います。
それは信頼関係の問題であって、トーマや自分たちへの信頼はそんなもんだったのかと言葉を返す祥子。
彩香もその言葉に乗って信頼を見せますが、太一はそれに乗ることが出来ず。

が、その言葉を聞いた津吾は突然、じゃあ帰れよと手を振り出しました。
いきなりの発言に難色を示す女子に対し、お前らは衝突しないのが思い遣りで友情なんだろ?と確認する津吾。

でもそんなぬるい関係じゃ承認欲求も不満も膨れ上がる一方だから
手頃なサンドバックが必要になってるんじゃないのか?と続けます。
何の話なのか理解が追い付かない彩香。
津吾は彼女らの意見も聞いた上で、それを真っ向から否定するのでした。

殴りあい力で分からせ合う事が男の友情なのか、問いかける祥子。
ネチネチ精神攻撃する女々しい攻防より、男らしくて健全な男の子の喧嘩なんじゃないですか?と健助は茶化しながら反論。
さっきから何なのか、健助の肩ばかり持ってと津吾を糾弾しだす祥子に対し、
津吾はあくまで自分の考えを述べているだけだと告げます。
どっちの味方なんだと問い詰める祥子ですが、その質問がおかしい。

そう言われた祥子は言い返す事も出来ず、話にならないと彩香を連れて部屋を出て行ってしまいました。
慌てて彼女を追いかけ、津吾を睨み部屋を出て行った彩香。
男三人になった部屋で、健助は良いのかよと心配の言葉を掛けます。

ずっと話を聞いているだけだった太一でしたが、
突然別方向の事実を知らされ困惑してしまうのでした。

一方その頃、学校で話を続ける二葉と真澄、そしてマミの三人。
マミは二葉に太一は大丈夫かと尋ねます。
たぶんと答える二葉に、何も話してないのかと続け尋ねるマミ。
二葉は少し考え、トーマが太一の事を本当に好きなんだねと再確認。
自分は全然気づかなかったと、自らを責めている様子。

真澄に、いつから気づいていたのかと問う二葉。
問われた真澄は、気づいたのは二年の頃で確認したのは三年になってからだと素直に答えます。
考え込む二葉に謝る真澄。
二葉も首を振ってフォローしますが、再び二人が考え込んでしまいました。
そんな双葉を心配するマミ。
噂のカチューに立たされて大丈夫かと尋ねるも、自覚がない様で。

噂の人物と付き合ってるだけで十分そうだと説明しますが、
自分は何もできないし資格も有るのかと悩んでいます。
資格?とその言葉の真意を問うマミ。
何も分からなくて想像するしかできない。
でも二人の気持ちを想像する事も出来ない。
太一は今どんな気持ちなのか、トーマは今までどんな気持ちだったのか。
何も知らない自分に、トーマがどんな気持ちで接していたのか。

そう思い悩む二葉に、マミは改めて問いかけます。
一体誰のために言っているのかと。

そう思い悩む自分自身の気持ちはどうなのか。
トーマや太一の気持ちも大切だけど、二葉自身の気持ちを一番に考えないと。
しっかりと彼女の意思を尊重するマミ。
ですが、自分よりも二人の方がと遠慮がちな二葉。
マミは付き合っている太一が二葉を好きという事実に、何故自身が無いのかと半ば責める様に反論します。
一ノ瀬のことそんな好きじゃないの?
そう問われれば、自分の気持ちをきちんと口に出来る二葉。

が、トーマはもっと前からずっとそうだったはず。
そう考える二葉でしたが、その価値観をマミはバカだと全否定。
私の方が好きとかあの子の方が辛い気持ちしてるとか、
気持ちの量を他人と比べ測る人がいるが、そんなもの目に見えないし測れない。
どっちが重いとか大きいとか見えないし測れない、そんなのエスパーでもないと無理。
どっちが重いだ軽いだ長いだ短いだそんなもの無意味。
大事なのはアレじゃん、他人と比べるんじゃなくて自分のアレだ。

ここに来て言葉に詰まってしまうマミ。
聞いていた真澄が呆れ気味に手を差し伸べます。

でも、測れないとしても自分の気持ちはすごく勝手でと答える二葉。
出来るなら今まで通り、それが彼女の望み。
けれど、八木原さんの時みたいに嫌って思っちゃうのかなとか、
思わないのも変なのかなとか。
そんな自分の気持ちより太一の気持ちの方が大事だと考えている二葉は、
彼がどう思っているのかを一生懸命想像しているのです。
ずっとずっとそばにいた大事な大切な友達から告白されたらどんな気持ちで何を思うのか。
それはつまり、自分に当てはめると相手が真澄になるという事で。

大切な友達から告白されたら私は。
真澄は、そう言葉を続ける二葉から目を離せず、彼女の気持ちを図らずして知る事となるのでした。

感想
令和初の『青のフラッグ』。
長かった一か月少し、結局またやきもきさせられる一か月にされてしまう事に。
取り敢えずホントにコイツラ高校生かよと言いたいくらいに達観し自己の主張が出来る方々ばかり。
まぁマンガにそのツッコミは野暮ってものですが、今回もまた彼らに考えさせられます。
自分への想いを秘めていた幼馴染の為、陽キャの巣窟に飛び込んだ太一でしたが
彼らは皆様々に、自らの意思を持ち他人に関わっているのがよく分かるお話でした。
ケンスケが殴ったのは確かに悪い。
立ち聞きして自分が我慢ならなかったから突入して殴り掛かったのは確かに悪い。
でも、それはケンスケ自身にそうせざるを得ない理由が有ったからであって
その理由まで合わせ非難を浴びせるのはまた違う話。
個人的には「皆違って皆良い」と思う人間なので
サヤの「嫌い」に対する考えはすごく共感出来ます。
言うなれば食わず嫌いみたいなもので、触れてみることで新しい発見や興味も出るものです。
なんですけども、彼女の言い分もまた他方向から見ると一方的な意見にしか過ぎない。

「皆違って皆良い」のは「そうは思わない人もいる」という点も含めてのお話。
相手の事を理解出来ないなら、自分の事も理解されないかもしれない。
食った上で嫌いだと言っているのかもしれない。
それが人間同士の関係であって関わり方だという事を理解せずにいう言葉ではないと思います。
ケンスケがトーマを殴ったのは良くないですが、
彼自身の価値観を持って行った行動。
彼の「女性は女性というだけで特別だ」という考えも、非常によく分かります。
「ブスだと分かっていてもスカートがめくれれば見てしまう」なんて何かで言ってた気もしますが、
全然興味がない相手でも女性という観点を持つと性だ恋愛だという対象になるというのは
もう本能ではないでしょうか。
全然接点がない相手でも、逆に友人関係として付き合いのある相手でも
「ちょっと大事な話が有って…」と改められたら「オレいけるんちゃう?」と思ってしまうもので。
「男は狼なのよ」とか「男なんてララララ、女もララララ」なんて歌も有りますが、
太一もドバッチリそんな思考で見ちゃってますものね。

サヤは太一は大丈夫!って言っていますけど、これも一つの自己中心的な思考なんですよね。
で、実際手を出そうとしたらそんな人だと思わなかったとかメチャクチャ言うんですよきっと。
男なんてちょっと触られたり話しかけられたりしただけで「オレ行ける気がする!」とか言い出す生き物なのにね。
ショーコとサヤがケンスケを責めるのも分かりますが、彼の価値観や思想を責めるのはただの中傷でしかない訳で。
「敵を作りたいのか」というシンゴの言葉が的を射ています。
皆が皆、トーマの想いをしっかりと受け止めて、その上でお話をしてるのも理解出来るんですよね。
ケンスケだって真剣だって分かったから余計に怒った訳ですし。
仲の良い親友が自分の最も嫌いとする人種と同じ考えなのだと思ってしまったら、どうしようもないですよね。
「よりによって」というのも「男なんだよ」とかじゃなくて「お前がそうなんだよ」って事だったのかもしれません。

トーマがマミを押し飛ばした時も「マミに手出すな」では無く「男が女に手出すな」でしたし、
彼自身の思想も色々と垣間見えていました。
結局10代しゃべり場を観覧していた様な状態の太一くんでしたが、最終的には男三人に。
改めてじっくりとお話をという流れかと思いきや、ケンスケの爆弾発言が飛び出します。
流れ的にはシンゴがショーコと付き合ってたって事ですよね。
でもこれで衝突の解消が出来なくて別れて縁も切るってなったら
これはこれでまたマミさんが怒りかねない案件になりますな。
でもそれはそれと出来ないのが人間で、そういう感情のぶつかり合いこそ青春なんですよ羨ましい。
そんな親友が彼女とめっちゃ口論していた事も知らないマミさん。
真澄と二葉の三人でこちらも真剣しゃべり場。
二葉自身はトーマと太一も大事で、彼らの想いの重さや大きさを懸念してしまう。
優しい子だと言えば聞こえは良いですけど、実際誰にも優しくないんですよねこういう思考って。
自分を二の次にして言われてもいない聞いてもいない他人の気持ちを慮って身を引いたりとか。
でも彼女もトーマに対してもヤキモチを焼きかねないと考えているのは
トーマの気持ちを真剣に思っている証拠。
だからこそ、二人の関係を見て思い悩んでる様子。
まぁどうしようもないですしねぇ、彼女がどうあがいたって。

自分の気持ちが大事だと言うマミの言葉もごもっともですが、
「二人の事を思って考える」というのも言ってみれば自分の気持ちに他ならず。
想像するしか出来ない二葉さんでしたが、その想像がまさかの方向へと走り出してしまいます。
次回更新は6月19日。
遂に太一の今の気持ちがその口から語られるのでしょうか。
突如まさかの剛速球を受け止めなければならなくなってしまいそうな真澄さんと一緒に
頑張って一か月待つこととしましょう。
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