『ルート3』第三十二話 あらすじとネタバレ感想~男の大事なところを粉々にされる話

COMIC GUMにて連載中、みなぎ得一さんの
『ルート3 ひとなみにおごれやおなご』最新話が公開されました。
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ルート3 ひとなみにおごれやおなご
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第三二話【遊ぼうぜ→↑】
他者から怨みを買うのはまず原因となる事柄を売ることから始まる。
そう語るのは万魔殿学園の生徒、光前寺・保由。
もちろん法というルールもある世界、
法で裁いてもらえば良いが、既に刃物を持った相手が目の前にいればどうしようもない。
その話に、同席する面々は逃げるや正当防衛やと口々に案を出します。

そんな雑談めいた話をする保由たちを横目に脂汗が止まらないのは
足長河童の吐噶喇・奄美。
この状況、怨まれるのは仕方ないが良策を考えてくれ。
彼らにそう頼むも、相手はそのような暇は与えてくれ無さそうである。
彼と相対するその人影は、大きくポーズをとって彼に語り掛けるのであった。

北海道旅行を終え学園に戻った保由たち。
ふと学園内を歩いていると、言い合いをしながら荷物を運ぶ人たちの姿が。
何を運んでいるのかと問いながらその荷を覗くと、
そこにはリアルな人体模型が入っていました。

棺桶を運んでいるのかと茶化そうと思ったが近からず遠からずな結果。
理由を尋ねるとどうやら教師が筋肉の構造の説明に使っていたそう。
で、それを理科準備室に戻す途中だったと。

理科準備室といえば学校の怪談でも良く出るスポット。
人体模型や標本が動き出す、集まる、話をする。
誰もいない音楽室から流れるピアノに合わせて標本が踊り出すなどなど。
自分で話しながら興味を持った保由。
彼女らの運ぶ模型を引き受けることで、その目的を達成することにしました。

が、複数人で運ばなければならないほどの重量物。
そこは巨大な魔獣に変化出来る二ツ岩・魔魅の出番。
学生四人で苦労して運んでいた入れ物を一人で悠々と運びます。

そして共に運ぶ骨格標本の本体を久木・初音が、
ハンガーを保由が担当。
三人で一路理科準備室へ。
と中庭を歩いている最中、突如飛んできたボールが保由の顔面にヒット。

その勢いでこけた彼女の持つハンガーが人体模型の入れ物を強打し、
その衝撃で手放してしまったが為に大惨事に。
入れ物は大破し、中に入っていた模型もバラバラになってしまいました。

スマンと謝りながら駆けてくる奄美たち。
足元に気づいた初音が慌てて彼を止めようと声を掛けますが、
一歩遅し、彼の足元で何かが砕ける音が。

たぶん内臓系かな?という初音の言葉に不安がよぎる奄美。
取り敢えず全員でその模型を修復することにしました。

奄美と遊んでいた胡麻斑たちも協力し着々と組み立てられる人体模型。
その中で奄美は一人、踏みつぶしたパーツの復旧に勤しみます。
内臓系は全部揃っている、その確認の上で胸板を嵌め込むと、
ぽっかりと空いた股間以外はすべて揃った人体模型が出来上がりました。

後は奄美の修復を待つばかり。
接着剤を使い何とか仕上げたそれを空いている部分に装着。

完成と喜ぶも束の間、股間部は再び落下し、
カシャンと音を立て粉々になってしまいました。

再びバラバラになった股間部。
人体模型の大事な部分の破損に対し、
我慢出来なくなって叫び出したのはその本人なのでした。

そして今、持ち主である人体模型と股間部を破壊した奄美が対峙しているのでした。
怨むのもわかるが、学校の怪談の怪異らしく夜中とか人の少ない時間に出来んのかね?と
冷静に人体模型に語り掛ける保由。
ハーフ&ハーフ太郎くんと呼ばれた人体模型はその呼び名を拒否しながらも、
一旦は我慢したと言います。
しかし、目の前で自分の男性生殖器を粉々にされて黙ってはいられない。
それ故に立ち上がり、その諸悪の根源から奪われたものを奪い返す。
そう息巻いている人体模型。

邪魔立てするなら貴様らも同様だとそこに座る胡麻斑に言い放ちますが、
彼らはタイマン勝負に水は差さないと冷たくあしらう始末。

女性陣に助けを求めますが、自分たちも被害者だからなぁと蔑ろ。
他に助けを求める間もなく、人体模型は奄美の股間目掛けて突進を開始。

頼れるのは自分だけ、やるしかないと気合を入れる奄美でしたが、
その横で初音が単品購入が出来たと言い出しました。

その声に動きを止める人体模型。
彼女が運んでいた骨格標本が彼の品番などを教えてくれたそう。

新たな股間部が到着する事となり、奄美は自らの股間を死守することが出来ました。
後日、新しい股間部を彼に取り付ける奄美。
深々と謝罪をする奄美にメガネも弁償しろと請求する保由。

理科準備室から立ち去る彼らを見送る人体模型の表情は、
心なしか以前より誇らしく見えるのでした。

感想
『サクラコード』が終わり、交代で『√3』の連載が再開されました。
前回の31話が2018年5月9日ですから、ほぼ1年半ぶりの更新。
生まれた赤ちゃんもあんよが上手なお年頃に育っちゃうほどの期間ですよ。
えらく長い北海道旅行でしたが、スパッと終わって学校に戻ってきました。
ブキミちゃんとか彼女に食べられたファンジャイくんとか置いてきぼりですが、
再登場を期待しておきましょう(笑)

連載再開の第1話ということで復習も兼ねるのかと思いきや、
何の事もなく今回も新たな怪異と鉢合わせていました。
今回の怪異は人体模型。
学校の怪談的にはもうレギュラーメンバークラスの登場人物ですね。
明らかにバッキバキの保由のメガネとか、
何故か人体模型とバトルが始まりそうな奄美とか気になる展開から始まりましたが、
結局下ネタかい!っていうね。
林間学校も終え学園に戻った保由たちが出会った棺桶の様なもの、
それは人体模型の入れ物でした。
棺桶に見えて気になったとも思いますが、こちらからすればそれよりも
それを運んでいる子たちの方が気になるわ。
このパンダなのか獣人なのか凄く微妙なラインのこの子と
凄く巻き毛なこの子。

一年半ぶりだからいまいち登場人物を思い出せない……
この子前出てたっけ?クラスメイトだったっけ?
ってなる自分の様な人はしっかり既刊第4巻まで読み返しましょう。
人体模型を受け継いで移動するまでの工程というか、
元から魔魅を頼る保由と分かっていて了承するお互いの関係とか
何だか慣れ親しんだ感が出て良いですなぁ。
結局の所魔魅は初音と二人になるし保由はデス・エスケープ←しちゃう訳ですが、
何がどう転ぶのかそこまでしっかり描かれてほしいモノです。

で、理科準備室へのドキドキ探検ツアー開始!と思いきや凶弾に倒れる保由。
前回心霊写真で左目に気を付けろと言われていたのに、
目どころが全体にぶち当たるサッカーボール。
ボールが当たってハンガーが倒れてそのショックで人体模型が落下して何もかもグチャグチャに。
もう目も当てられない状態というか泣きっ面に蜂というか。
こうもまぁ見事なピタゴラ装置は中々ありませんよ(笑)
謝罪に現れた河童の奄美くんですが、その第一歩が悪かった。
この時のハーフ&ハーフ太郎さんが必死で堪えてたかと思うとそれはそれで面白いのですが。

踏んでしまった責任感からか自分一人で一生懸命必死に直す奄美くん、
まさかその修復部が股間て。男性生殖器て。
しかも治してもしっかり治ってなかったから崩れ落ちるって。
見てるだけで股間がヒュンってなるわ。
男からすればね、人体模型さんの怒る理由もご尤もですよ。
自らの息子を粉々に砕かれて笑える男なんて色んな意味で男じゃありませんよ。
まぁそんな事される人生あり得ませんけども。
とはいえ、代わりに頂くというのは怪異らしいというか。
同様だと言われて速攻で守りに入った胡麻斑くんたちの素直なこと。
確かにその立場なら誰だってそう言うわね。
とばっちりで息子を奪われるなんてたまったもんじゃない。
にしても、「深夜理科準備室の人体模型が動き出す」とか昔から良くある話ですけど、
股間をもぎちぎりに襲い掛かってくるなんて逸話は初でしょうね。
骨格標本のマイクさんと初音の機転で何とか事なきを得ましたが、
怪異から逃れる手段が「股間部分を単品購入する」とかバッタリ出遭ったタイミングでは思いつかんて。
奄美くん一人ならきっともぎちぎられて奄美さんになっていたでしょうな。

何やかんやで元通りになってご満悦のハーフ&ハーフ太郎くん。
結局誰一人彼が喋り出したことに対してツッコミもしませんでしたが、
次回もこんな感じでシュールにやっていくことでしょう。
『サクラコード』よろしく月一程度で更新していってくれるのでしょうか。
「『サクラコード』は巻きで」と言われていたそうですが、『ルート3』はどうなのでしょうか。
5巻で終わらせてしまうにせよあと数話は有りそうですが、上にも書いた通りデス・エスケープ←までの流れをしっかりと見せて頂きたい所。
次回も楽しみにお待ちしております。