『灼熱カバディ』第141話 あらすじとネタバレ感想~勝利への執念と執着、その為の努力

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』最新話が公開されました。
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第141話 復讐への渇望
奏和高校一年・緒方蒼介。
彼の父は、スポーツマンの取材を仕事としていた。
可能性を追う父は息子である彼に対し、お前には無理だという様な否定的な言葉を使わなかった。
が、とある取材の帰り、父はポツリと呟きました。

奏和に対し攻撃を成功させ、その返しの奇襲である速攻すら防いだ宵越。
驚きと喜びを隠せないチームメイトたちに対し、
その表情に緩みはありません。

彼の活躍に湧き上がる観客席。
サッカー部の面々ももはやただのファンと成り果ててしまいました。

能京はこれで4点リード、王城も戻り最良の状態。
片や奏和は六弦と高谷の二人で守備を凌がねばならず、全滅の危機すらある不利な状況。
そう観客席で分析を続ける亜川。
頭の中で巡る思考が口から漏れ、隣に座る二人に聞こえてしまっていました。
遂には詳しい人と認定されてしまい、突然のお願いを受けることに。

奏和ベンチで焦る緒方。
タイムをするべきか逡巡しますが、
コートに残る二人はそんな迷いや悩みを起こす素振りもなく。

自分の判断や助言で下手に気持ちが切れても困る。
緒方は先輩たちを信じると決め、彼らの戦いを見届けることにしました。

果たして次の攻撃は宵越と王城のどちらが出るのか。
期待が高まる場内。
次に能京の攻撃手に課せられるプレッシャーを、
亜川は親二人に分かりやすく説明をします。

歩を進めるのは一年・宵越。
やはり多少捕まっても変えることが出来る宵越かと思う観客たちですが、
その判断はそんな合理的な選択ではない。
サッカーからの転向でカバディの知識が少ない宵越は、
その所為かいつも負けた相手をイメージし練習を重ねていました。

決して表には出さない。
それが自分や周りにとって得にならない事は分かっている。
それでも、彼の心の中にはいつも燃え滾る思いがあったのです。

決着をつけなくちゃいけないのは王城だけではない。
屈辱を晴らすため、能京の獣はコートを駆けるのです。

通常の二人守備で考えればスピードのある宵越は有利。
しかしその内一人は単独最強の男。

六弦に対し、怯む事無く直進する。
バックは破られ、カットも封じられるのにと困惑する栄倉(場外)ですが、
封じようにも後は高谷一人。
バックの可能性まで考えれば一人で覆いきる事は出来ず、
選択肢は多大に広がる。

掴まえればそれまでだが、矢継ぎ早の攻撃に六弦も回避が精一杯。
反撃する体勢を整えることも出来ず、宵越に触れられる結果に。

【カット】を使い右に走る宵越。
続けて高谷を狙いに行きますが、
その目標は予想外に自ら突っ込んできました。

軌道を読むのではなく、その手前で潰す。
高谷が選んだのは力勝負。
しかし、その目算に誤りが。

かつて戦った時より成長したのはどちらも同じ。
鍛え高めたのはどちらも同じ。
高谷を持ち上げ、跳ね除けようとする宵越。
が、その一瞬の停滞を、一瞬の隙を逃す世界組ではありません。

俺の前で立ち止まるなど十年早い。
掴みかかる六弦。
彼の守備は少人数でも構わず炸裂する、
捕まれば終わりの圧倒的パワー。
放たれた渾身のキャッチは、攻撃手の宵越まで到達せず。

宵越まで回転を使う。
驚愕する守備の二人。
それを見ていた緒方は、父の零した言葉を思い出していました。
長い記者人生で、あんな子供に出会ったのは初めてだ。
その少年はボールを蹴りながらインタビューを受けていた。
今度戦う一度負けた相手への意気込みを問うと、ありがたいと答えた。

一度負けた相手だからイメージがしやすいと語る彼の体が震える。
寒いのかと問うた緒方の父に対し思い出すと腹が立つと答えた彼は、シュートの練習を続けていた。

その執着に戸惑いながらも、切り替えた方が良い事もあると助言をする。
が、勝ってないから無理だと一蹴した彼は、止まらず再び壁にボールを蹴りつけた。
小学生の彼が悔しくて流すのは涙ではなく。

そのインタビューの間、彼の練習が止まる事はなかった。
高谷の体で六弦を防ぎ、センターラインへ倒れこむ。
父の零した言葉を思い出す緒方。

彼の根幹、その強さに競技は関係無く、
ひたすらに足掻き、磨き続ける。
宵越の攻撃成功により奏和が全滅。
唖然とする奏和陣ですが、攻撃を成功させた宵越はまだ喜びを表に出しません。
前の試合、高谷は27点を取った。
8点を取った今、残り19点。

ただひたむきに復讐に燃える彼を見て、
高谷は楽しそうに悪態を吐くのでした。

感想
2週ぶりの『灼熱カバディ』。
視線誘導も含めた巧みな技術を繰り出し六弦を動かすことで攻撃を成功させ、
更にはその切り返しの奇襲も難なく撃破という主人公が主人公をしていた熱い前回でしたが、
今回もその熱さが続きます。というか更に熱くなりました。
先の攻撃と守備で一挙4得点となりリードを広げた能京。
しかし宵越は大して嬉しくなさそう。
気になっていたその表情ですが、まさか高谷に取られた点数取り返そうとしているなんて。
試合に勝つのがリベンジじゃなく、相手を越えるのがリベンジ。
元々勝つことに執着していた人間ではありましたが、
考え方のストイックさが常人ではないわ。

サッカーに関しても天才だなんだ持て囃されていましたが、
その尋常ならざる努力がなし得た積み重ねだったんですね。
彼自身チームメイトとの隔絶で辞めた節もありましたし、
同じ目標を持つ今のチームでなら、更なる高みへと上る事も出来る筈。
とはいえ、「点取りゲームになるのは守備が弱い証拠」だとか言っていた気もしますし、
この守備相手に後19点とかいうのはある意味狂気すら感じる。
しかしまぁね、宵越がヨイゴシから主人公にランクアップですよ。
ヨイゴシはヨイゴシなんですけど、まさかここまで活躍出来るとは。
紅葉・佐倉が彼に伝えた回転の技術。
回転は無限の力と言いますが、攻撃に良し防御に良しと大変活躍しております。

宵越自身盗まれるのは嫌がりますが人の技を盗むことに秀でていますし、
紅葉との練習試合でも回転を駆使していましたし、
【バック】【カット】と組み合わせれば正に無限の力になりそうな予感。
でも六弦や片桐に掴まれたら回転してられないですから、
そこを持ち前のスピードで翻弄して後19点頑張っていただきたいところ。
といっても、宵越の攻撃に対して、六弦も慌ててるんですよね。
【バック】や【カット】といった技術だけでなく、普通の攻撃に対しても掴みにくいとかなっていますし、
宵越の実力自体が本当に向上しているという事。
畦道に伴、宵越と一年生たちが活躍する中、守備に失敗してしまった伊達や水澄たち守備チームは汚名を返上し、
親に良い所を見せられるのか。
ゴリラ争奪戦は是非とももう3回くらい行っていただき、
自分の筋肉を褒めた二人にリベンジして頂きたい。
「筋肉と呼ばれた男」がどう見ても伊達家の関係者に見えてしまいますし、
彼も「ゴリラと呼ばれた男」となれる可能性はある筈(笑)

また、宵越を良く知っていた緒方くん。
自己紹介でも何やら言っていましたが、実際見聞きしていた様で。
その強さはサッカーの競技力ではなく、彼のストイック精神そのもの。
実力を如何なく発揮する宵越をどう止めるのか、見ものです。
次回更新は12月31日大晦日。
年の最後を締めくくる大一番となるか否か、次回も乞うご期待。
スマホアプリ「マンガワン」では、そんな次のお話が先読みで公開中。
我慢出来ない人はそちらでぜひこの熱い戦いの行く先をご覧ください。
まぁ先読みを見てもまだまだ終わらないんですけど。