『灼熱カバディ』第144話 あらすじとネタバレ感想~楽しんだもん勝ちならばこれなんてどう?

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』最新話が公開されました。
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第144話【軽薄な愛】
能京高校対奏和高校、能京・王城の攻撃。
王城は練習試合の時と違う相手の練度に攻めあぐねいていました。
簡単に触れない敵の守備陣。
その上、様子がおかしい選手が一人。

焦点すら合っていない様な妙な気の抜き方。
そこに注目した王城の隙を狙い片桐が特攻を仕掛けますが、
もちろんそんな隙がある訳もなく。

片桐に触れた王城は深追いせず帰陣。
1点を取得して14対8、
点数面で見れば未だ能京が有利の状態。
コート外にする片桐に気を遣う木崎。
緒方の作戦通りに入れ代わり立ち代わり攻撃に出ようとしますが、
その前を高谷が歩き出し、キャントを唱え始めました。

彼の専行を咎めようとする木崎ですが、それを六弦が諫めます。
自己中を許すのかと彼に問いただす木崎。
それに対し、長所と短所の問題だと六弦は説明します。
今6点差で負けている状況。
これまでも強敵と戦い、窮地に何度も立たされてきた。
しかし、その心も体も削られるような逆境の中、高谷はいつも笑って帰る。

信頼を置く彼の活躍に期待をかける六弦。
高谷は先ほどの守備と打って変わって、揚々とコートを駆けます。
5人守備の今ボーナスラインは機能しないので、
能京は最後尾まで下がることが出来る。

さっきの様な不意を突かれない様に神経を研ぎ澄ませる水澄。
彼が王城を守りながら奥に誘い込むことで、背後に回り込むことが出来る。

どうする。
それは常に高谷が自身に問いかけてきた言葉。
前後敵に挟まれた窮地。
こんな時自分なら、高谷煉ならどうする。

思い立ったまま後ろに走り出す高谷。
自分がロックオンされ回避を考える伊達でしたが、
高谷の方がスピードが上、避け切れはしない。
ならば迎え撃つ。

脳内では必死に次を考えながらも表情は柔らかいままの高谷。
伊達に向かいながらも秘かに足を後ろに伸ばし、水澄に触れる。
そしてその瞬間、一気に最高速。
伊達のスピードが乗る前に彼をいなし、掻い潜るのでした。

味方ながら唖然とする木崎。
その横で六弦は昨年の敗退を思い返していました。
星海と戦い、負けたあの時。
整列を促す六弦を無視して高谷は敵である不破に対し、
謝罪の言葉を伝えていました。

謝る相手は味方にじゃないのかと尋ねる不破に対し、
高谷は間違っていないと話を続けます。

六弦が止めるのも聞かず、あくまで不破に対し語り続ける高谷。
彼を指さしながら、宣戦布告を口にするのでした。

高谷は「遊び」だと言った。
その「遊び」に全力を注ぐ彼は伊達の制止を振り切り
センターラインを越え、2点を獲得。

間一髪、危険を乗り越えた爽快感を噛み締める高谷。
六弦も安全な方法を考えろと忠告しますが、
彼はそういう基準で動いているのではありません。

高谷は軽薄だが王城の言う「愛」に似た信念を持っている。
求め続ける人間の底知れなさ。
その強さが能京を有利を徐々に覆し始めるのです。

感想
カバディを愛する者同士の熱い戦いが続く能京対奏和戦。
ドッキリテクスチャーとかバンジーガムとか言いたくなるタイトルのお話。
前の高谷の攻撃で宵越がコート外に行ったから仕方ないけど、
また主人公登場コマ0だよ!
前回は奏和3年のメガネくん目線から木崎たちの思いが描かれていましたが、
今回は高谷が大活躍。
守備の時ぼーっとするスタイルは紅葉の佐倉もやっていましたね。
緩急の付け方というか自己中心的に研ぎ澄まされていっているのでしょうか。
唯我独尊な彼ですから、緒方の作戦に収まりきらないのは言わずもがな。
しかしそれだけやってくれるという期待もあるものだから始末が悪い。

前回あんなお話が有っただけに木崎の意地も見せてほしかったものですが、
今回は文句言って唖然とするだけのお仕事でした(笑)
高谷が頭に浮かべたどうする?という自身への問いかけ。
それは高谷だけでなく、守備も攻撃も全員が全員自身に問うてきたことだと思います。
特にその取捨選択と判断が早かった大山律心の大和もいましたしね。

ただベストな選択を取り続ける大和と違って、
高谷は「理想の自分」「完璧な自分」を選ぶ選択なんですよね。
「完璧な自分」ならどうするかという飽くなき挑戦、
目指すは今より強い自分という果てなき研鑽。
その自分と完全にリンクすれば最強はすぐそこでしょう。
『エアマスター』の小西みたいな感じですな。

そんな彼も敗北は味わっている訳で、
一年前の大会で星海の前に辛酸を舐めていました。
しかし、高谷はその時にも力及ばなかった自分でも、
勝利を与えられなかった味方でもなく、
競い合う事が出来なかった強者に謝罪をしました。
来年は負けない、ではなく来年は遊び相手になってあげる、
対等なレベルまで上り詰めてやるという意思表示ですが、大言壮語となるのか否か。
誰かの為に戦い続ける佐倉に我欲を出せと言っていた様に、
彼自身「自分が楽しむ」事が何より大事なんでしょうね。
だから相手を楽しませられなかった事にも悔しさを覚えるような。
「遊び」と称しながらも自らの限界の先を常に目指し続ける程の意志の強さは
全力で楽しむことを一番に考えている様です。
全力で遊べる場所と全力で遊べる相手。
その両方が揃っている今とその先を求め、
彼はまだまだ貪欲に求め進み続けるのでしょう。

メタ的に言えば主人公たちが勝つんでしょうけど、
高谷たち奏和の活躍も見たい。
前半戦も進んできている最中、結末が見たいけど見たくないジレンマ。
そんな悩みが尽きはしませんが、次回更新は1月28日。
来週もまたまた熱い展開が続きます。
スマホアプリ「マンガワン」ではそんなお話の続きが先読みで公開中。
まぁ先読みしても「先読みの先読み」がしたくなるだけなんですが、我慢できない人はどうぞ。