『灼熱カバディ』第145話 あらすじとネタバレ感想~皆全力で遊べ

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』最新話が公開されました。
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第145話【狂鳴】
全力で「遊ぶ」為、更なる昇華を見せた奏和高校・高谷。
対する能京高校部長・世界組である王城も負けてはいない。
むしろ最高峰ともいえるレベル。
なのだが、伸びしろは高谷の方が一歩抜きんでている。
畦道たちも彼の動きを予測出来ず、その猛威を止めることが出来ない。

このままでは点差が消えてしまう。
観客席でそう嘆く外園の予想通り、
回を重ねるごとに精彩を増す高谷。
倒せなくとも被害を最小限に抑える。
その意識の中で戦い続けた結果、突然訪れる劣勢。

守備が急に寂しくなったことに驚く水澄の母。
そんな彼女に、亜川は天秤を想像してみてほしいと
状況をかみ砕いて説明します。

畜生と声を出し、膝を叩く外園。
自らを破り先へと進んだ彼が、ルーキーである不倒に点を取ってもらい
2年生に良い様にされている。
その状況に納得が出来ず、怒りがこみ上げるのでした。

そう言われているとも知らず、王城は現状を判断。
残った宵越と水澄に指示を出します。

今は他の攻撃手もいる。
リスクを背負わないと彼は倒せない。
その王城の判断に、二人も従います。
深く息を吸い、構える王城。
それは今までに見せたことのない、
カバディらしからぬ半身の構え。

先輩を立ててメインを譲ろうとは思ったんですけど。
そう口にする高谷自らの高鳴りを隠しきれず、
待ち構えるその獲物を狩ってくると六弦に告げます。

その言葉に、構わんと一言で返す六弦。
聞くか聞かずか駆け出した高谷は一直線に王城の元へ。
今まで王城を守りながら戦ってきた能京陣でしたが、
王城の指示のもと彼から離れて高谷の攻撃を避けます。

本当に守らない。
そう確信した高谷が孤立した王城を狙います。
が、その手を緩やかに回避する。

その動きに、いつか見た無縁の競技を思い出した高谷。
その競技はカバディと同じく触れることを許されず、
触れる面積を減らす様構え競う競技。

しかし、カバディはそんな素手の競技。
縦横無尽に軌道を変え襲う事が出来る。
直線ではなく、フック気味に手を伸ばす高谷。
と、その背後には先ほど避けていったはずの二人が
間近に迫ってきていました。

彼らの判断、反応が高谷より早い事には理由がありました。
練習中、王城は宵越に尋ねた。
サッカーを教えてほしいと。
何故と思いながらも、彼に伝授する宵越。
そして、水澄にはケンカを教えて欲しいと願い出た。

飲んでいた水を吹き出し、そもそもいらんでしょうと返す水澄。
ですが、王城はこう返します。

この人は何かやってくれる。
それだけのことをしてきている。
その信頼が有った。
高谷も少し遅れて後ろから迫る二人に気づき、振り返る。
と、その瞬間感じたのは足元へのプレッシャー。

逃げる様に、後ろを振り向いた勢いを利用して自陣へと飛び込む。
さり気なく宵越に触れ、1点を獲得。

そんな状況でも点を取り戻れる高谷に苛立つ宵越でしたが、
彼が見た高谷の表情は充実感に溢れていて。

気が合うね、と口にする王城。
彼もまた、その世界に全力を注ぐ人間の一人なのです。

感想
最新刊の発売日が2月12日と迫る『灼熱カバディ』。
今回も先の読めない攻防が続きます。
世界組最強の攻撃手と自負する王城。
それは他の世界組も認めるほどの強さでした。
そんな最強の矛に対し、今まさに研ぎ続けられ切れ味の上がり続ける刃。
自らとの衝突すらも糧として伸び続ける高谷の成長は
その矛を破るに足る実力を持ち始めています。
水澄ママが驚き、亜川が説明していたカバディの性質。
普通のスポーツであれば2対2で1点取られれば2対3の1点差。
しかしカバディではそこに選手の移動も関わってきます。

大量得点を恐れ1点ずつ与えていっても、選手も一人いなくなるので実質-2と言えるレベル。
そう考えれば点が多い方が有利にも見えますが、全滅<ローナ>で全復活した事もあって
数の優位性は奏和にある。
奪われた分奪わなければ負けていく。
特に攻撃手が抜きんでている両チームなればこそ分かりやすく目に見える。
難しい競技ですねぇそう考えると。
まぁどの競技だって難しいんですけど。

点数では優位ながら人数で劣勢に追い込まれた能京・王城が取った作戦は
チームが自分を優先しないという事。
当初から「エースを守りながら勝つ」作戦をしてきた能京。
彼を守るという事は自らを差し出す必要もあるという事で、
それがジリ貧につながる。

彼自身捕まれず避け続けてきた攻撃手ですから、
守備側でも「避ける」事に関しては宵越らより秀でているのでしょう。
で、実際に孤立無援状態となった王城を攻める高谷。
が彼を見て思い出したのはフェンシング。
蝶の様に舞い蜂の様に刺す。
一突きで負けに至るその競技すらも王城の血肉の中。
前からカバディに使えると思ってと貪欲に知識・技術を求め続けた王城。
サッカーのフットワークやフェイント技術は事実宵越がカバディに落とし込みましたし、
水澄の喧嘩は……カバディと喧嘩の組み合わせは嫌な予感しかしないぞ(笑)
まぁ大山律心戦での根性とか見せましたしね、そういうところよね。
周りがドン引きするほどのカバディ愛。
しかし能京陣はそれが信頼として培われてきています。

宵越が魅せてくれた様に、王城も期待に応えてやってくれる。
それは恐らく宵越たちだけでなく、外園や六弦も思っている事でしょう。
謝る高谷に構わんと返した六弦でしたけど、
「好きにしろ」というより「出来るものならやってみろ」という意味なんでしょうね。
その信頼からなるコンビネーション、そして王城の守備に驚き逃げ返った高谷。
ですがその顔は満足そのもの。
全力で「遊ぶ」彼は今、まさに生きているのでしょう。
その気持ちが誰よりも分かる王城ですが、そのまま彼に好きにさせる訳もありません。

次回更新は2月4日。
最新刊13巻も2月12日に発売ですので要チェックですぞ。
スマホアプリ「マンガワン」ではそんな『灼熱カバディ』最新話のその先が先読みで公開中。
宵越が王城にサッカーを教える描き下ろしのちょい足しなんかも有りますので
是非そちらだけでもご覧ください。