『ルート3』第三十六話 あらすじとネタバレ感想~怒涛の展開から怒涛のクライマックスへ?

COMIC GUMにて連載中、みなぎ得一さんの
『ルート3 ひとなみにおごれやおなご』最新話が公開されました。
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ルート3 ひとなみにおごれやおなご
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第三十六話【四時からヨジゲン↑→↓〔中〕】
突如時計が四時になり、現れたヨジババアに引き込まれた 。
側にいて彼女を助けようとした も再度飛び出した手に捕まり、
黒板に引きずり込まれてしまいます。
突然の事態に驚愕する保由。
その時、彼女を名を叫ぶ声が聞こえ振り向くと、
携帯の画面やかばん、机の中から同じ手が伸び、
クラスメイト達を掴んでいました。

そして、保由の前の机からもその手が伸び、彼女の腰を掴みます。
クラスの全員が異次元へと連れ去られてしまうのでした。
意識を取り戻し、体を起こす保由。
すると目の前にはマントを羽織った影が魔魅の側に立ち、
その手には花子さんから受け取った人形が。

保由に気づいた赤マント。
その人形を返せと駆け寄る彼女の背後に回り込み、
背中を斬り付けます。

気付いた魔魅が変化し赤マントにとびかかる。
赤マントは人形を握り潰し、
その拳をそのまま魔魅に振り下ろします。

首が落ちた人形に落胆する保由。
その所業を行った人物を見ると、
赤マントを纏うは北海道で遭った「ベッドの下男」でした。
右手首を食いちぎられた恨みを抱える男は赤マントを身に着け、
失った手に鉤爪を付けて赤マントフックマンとなった。

ヨジババアは私をお前に着せて手元に置いておきたかった様だが、
このフックマンは自らを開放し装着した人物より何倍も気に入っていると語る赤マント。
何故ヨジババアが自分を狙うのか、
保由は困惑するしかありません。

と、その時クラスメイトのテモが壁を押し破り助けにやってきました。
驚いた赤マントの隙を衝いて魔魅も挟み撃ちにしますが、
赤マントはフックマンと分離して保由とテモを連れ去ってしまいます。

助けようとする魔魅でしたが、彼女の前にフックマンが立ちはだかり近づく事も出来ず。
友人のの名を叫びながらも赤マントが消えるのをただ見ているしか出来ません。

一方その頃、初音はクラスメイトの十文・ころんと
デル・セネカの二人と共にいました。
彼女らの前を通り過ぎる乳母車。
誰が押すでもなく一人でに進み続けるそれを怯えながら見送る初音。

深く息を吐き、改めて状況を確認する。
恐らくは旧時代の古い学校。
万魔学園が出現する何年も前、同じ場所に学校が有ったと話すころん。
ここは多分それなのだろう。
ため息を吐くしかない初音ですが、
他のクラスメイトも心配。
教室に何人いたかと確認するもころんは全く覚えておらず、
自分の持つ携帯の電波を探し求めます。

と、その時セネカが16人だと指で指し示しました。
誰がいたか覚えているかと問うも、彼女は声を発することが出来ず。
いつも横にいる子がいないと通訳が成り立たない。

古い学校に飛ばされたとしても、やはり学校に乳母車はおかしい。
ひとりでに動き続けるそれを見やりながら呟くと、
折角隠れているというのにころんが乳母車の後ろに飛び出してしまいました。
こういう時は何か行動を起こさないと物事は進展しない。
突如ジャーナリズムを発揮しだしたころんは一目散に乳母車の元へ。

携帯で写真を撮りながら駆け寄ったころん。
幌を開けるとそこには無数の頭蓋骨が。

後ろから追いつき、その中身に驚く初音。
ころんは表情を曇らせる事もなく撮影を続け、
拡散希望とSNSを始める始末。
と、頭蓋骨の中から文様の付いた手が伸び、
幌に手を掛けたままのころんの腕を掴みます。

覗き込むとそこにはヨジババアの顔が。
絶体絶命化と思われたその瞬間、
ころんは自らの腕を抜き取り逃げろと叫んで駆け出しました。
驚きの連続で戸惑うしかない初音。
とにかくころんに追いつくべく駆けながらその腕について尋ねますが、
まるで茶飯事の様な楽観的な返答。

頭がこんがらがりそうな初音でしたが、
セネカが浮かべた保由の顔を見てまずは合流しようと、
目標を定めるのでした。

また別のところで、異なる怪異に襲われるクラスメイトたち。
奄美、胡麻斑と共にいたモノクロは、廊下の奥にいる何かを見るなり
眼を抑え叫び出しました。

彼の言う向こうにいる奴を凝視する奄美。
でしたが、それを見据えた瞬間目から血が流れだし、
即座にその視線を反らして拳を振り抜きます。

伸びた彼の拳をクネクネと避けながら歩み寄る怪異。
そのまま奄美の腕を掻い潜り、
逆に自らの拳を彼の顔面に打ち付けました。

崩れ落ちながら、その怪異が見るものを呪う【邪視】の持ち主だと皆に告げる奄美。
見てはダメだと言われても、見ずにどう戦えというのか。
当惑する胡麻斑でしたが、その緊張を裂くかの様に
高らかに叫ぶ声が響き渡ります。

見ると、高く飛び上がる良雄の姿が。
右膝小僧の憑いた右脚によるキックを放ち、
怪異を一撃の元に伏してしまいます。

やったな兄弟!と威勢よく声をかける右膝小僧。
怒涛の展開に付いていけない胡麻斑たちなのでした。
女子トイレではまた別のクラスメイトたちが
ひとりでに動く乳母車から隠れていました。

長岡の所為なら許せない。
憤る彼女たちでしたが、その後ろからまた別の怪異が忍び寄るのです。

感想
およそ1月ぶりの『ルート3』。
物語の本筋が明かされ、奇襲をかけるがごとく現れたヨジババア。
そこにいた智だけを連れて行く理由なんてそりゃないでしょうけど、
まさかそこにいた全員を引きずり込むなんて。
ヨジババアの四次元殺法恐るべし。

そして送られた異次元は旧時代の学校。
情緒たっぷりなその場所に、箱の男に遊びましょと誘われた怪異たちがズラリ。
フックマンと赤マントが合体し赤マントフックマンに。
安直すぎる名前ですがその実戦闘力は飛躍的にアップしている様で。
まぁ元が体力も筋力もないヘタレな絵描きだった訳ですから、
それと比べりゃ大層なレベルアップでしょうよ。

保由の背中をガッツリ切っちゃうくらいに行っちゃってマジな奴、
これはかなりピンチ。
赤マント曰く、本来は保由に付いて手元に置いておきたかったとの事ですが、
これは保由自身に特殊性がある事の示唆になっていますな。
花子さんのいう「都市伝説を引きつける力」にも繋がるのでしょうが、
というか最終的に『デス・エスケープ←』ではその都市伝説自体が
保由に付いた呪いになっていましたし、
その辺り明かされていくのでしょうか。

筋骨隆々なベッド下男に変幻自在っぽい赤マント。
合体しても強く、分離しても各々強いとか強キャラにもほどがある。
赤マントのまま去っていった時は福太郎どうなるのかと思ってたら、
交代でポイされちゃったんでしょうね、たぶん。
ゆくゆくは如意機のコピーを持って剛化変身までしちゃうダブルマンですけど、
この頃はただの軟弱絵描きダブルマンですから仕方ない。

コックリーズの中で一人だけ分かれてしまった初音は
ジャーナリズム溢れる女子・ころんと
「ガラスマネキン入りスライム」という
ごくごく一部の男子にドンピシャになりかねないセネカと共に行動。
花子さん探しの際に平気でドアを叩いたりする魔魅も困り者でしたが、
探求心溢れて怪異に自ら突っ走るころんさんは
もう傍から見ても恐怖でしかない。
案の定ヨジババアさん出て来るし、
腕抜いて逃げるしもう訳が分からないよ。
取り敢えずしゃれこうべの中に隠れて待っている
ヨジババアさんが気になって仕方ないわ。
いや奄美の持ってたスマホから出てきてたやん。
ころんさんのスマホから出てきたら一発やん。
何バレバレの罠の中でこっそり待ってるのさ。

とまぁ初音たちにそんな野暮なツッコミをする余裕もなく、
脱兎のごとく逃げながら保由を探すことになりました。
無事合流出来ればいいのですが。
そしてその頃メンズたちの前には、あのくねくねが。
<くねくね>と言えば主にのどかな田園風景に突如現れる白い人影で
人間らしからぬ動きでくねくね踊る、
見て何か解ってしまうと気が狂うというアレですよアレ。
その設定を「直視すると呪われ心が壊れる【邪視】」とするというのは面白い捉え方。
くねくねとしたその動きは何というかターちゃんのフニフニ避けを彷彿とさせますが、
見た目はもうとにかく気持ち悪い。

を、まさかのライト・ニー・キッド大活躍。
学校だというのに高らかと飛び上がり、
必殺技【ライトニングキック】で一撃粉砕ですよ。
何だこの展開(笑)
そして最後にはね、先日旅行中にクラスメイトをペロリと召し上がったブキミちゃん再登場。
貴重なケモ耳女子もペロリといかれてしまうのでしょうか。
怪異たちの凶行を止められる者はいるのでしょうか。

『足洗邸の住人たち』や『サクラコード』で登場する万魔の生徒たちもいるものだから
その辺は安全なんだろうなぁとか思うけども、
ホアジャイの様に頭から食べられる生徒もいる訳だし、
無事皆で脱出することが出来るのか、
花子さんは間に合うのか。

どういうストーリーになるにせよ『デス・エスケープ←』を見る限り、
彼女自身にかけられた呪いで人との関わりを断ち、
コックリーズがコリーズに戻る様な流れになってしまったという
バッドエンドが待っている訳ですから
そこをどう描くのかも気になるところ。
……なのですが、3月25日に出る第5巻が最終巻って告知されちゃってるんですよね。
つまりもう最終回なんですよね、おそらく次が。
『サクラコード』の時は2週連続更新で最終話まで突っ走っておりましたし、
こちらも来週か再来週にはもう一話、最終話が更新されるのでしょう。
でも今回と同じページ数位でクラスメイトが集まって、
花子さんも参戦して何とか助かるけど
保由だけバッドエンドへの道を歩み始めることになる、
までの流れが収まるのかしら。
……不安しかないわ。
足早に畳まれるのは悲しいけど、楽しみにしています。