『灼熱カバディ』第149話(前編) あらすじとネタバレ感想~間接は簡単に逆には曲がらない

裏サンデーにて連載中、武蔵野創さんの『灼熱カバディ』最新話が公開されました。
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第149話【勝ち方(前編)】
能京と奏和の闘いも後半戦が開始。
王城と変わりコートに上がった関は、
迫りくる高谷の攻撃に衝撃を覚えます。

長くしなやかで軌道の読めないその腕の動き。
宵越と似ているとはいえ、やはり違う。

圧倒され、委縮している関を狙う高谷の腕。
反応が遅れた彼を、側に居た水澄が引き寄せて回避。
水澄は緊張の取れない関に対し檄を飛ばします。

その一言でスイッチが入る関。
先ほどまでの狼狽していた表情は消え、
冷静さを取り戻しました。

そんなやり取りを見ていた水澄の母は、
らしくない息子の行動に口を開きます。
アイツが相手より後輩にかまうなんてと呟く彼女でしたが、
亜川はそんな彼女に分かってないとズバリ。

相手に対して熱がある。
彼は高谷の活躍に、同じ二年でありながらありありと見えるその差に
ずっとやりきれない気持ちを積み重ねてきていました。
しかしかつての様に感情に任せるのではなく、
あくまで冷静にその熱を身の内に宿します。

宵越の攻撃の時、パワーならこちらに分が有る事がわかった。
つまり人数が少なくとも何とかなるという事。
落ち着いて隙を探す。
それが無いなら動いて作れ。

高谷が自分に背を向けた瞬間、跳ねる様に突進する。
しかし、高谷は知っていた。
キャッチとは「掴む」ことであり、
人間の腕や指はとても器用に、多少逃げてもどこかしら掴むことは可能。
それをわずかな力で回避する術が有る事を。

人の指は逆には曲がらない。
反応が遅れても甲を抑えれば、それを徹底すれば捕まらない。
水澄のキャッチもそうやっていなそうとした。
が、いなそうとしたその腕は彼を掴もうとせず、
体全体でぶつかるかの様に突っ込んでいく。

キャッチの為では無く、時間稼ぎのための行動。
体の軸を揺らされながら、それに気づく高谷。
かつて相対し、水澄をライバルの一人と認める佐倉からすれば、
その冷静さが未だ恐ろしい。

水澄も拘る二年のテッペン。
それを決めるタイマン勝負は今はお預け。
優秀な後輩を頼り、チームで彼を潰す流れを生み出しました。

飛び掛かり、彼の身体を掴む関と宵越。
しかし、高谷が怖いのはここから。
意地の勝負が再び幕を開けるのです。

感想
再び前後編に分かれての前編。
高谷の連続攻撃をクリアするべく鳴り物入りで登場した関でしたが、
如何せん初めて間近で見る高谷の攻撃に圧倒されてしまいました。
何事もそうですが、傍から見るのと体験するのとでは大違いですからね。
まぁ高谷の攻撃の場合傍から見ても十分凄いでしょうけども。

そんな呑み込まれてしまった関に喝を入れるのは先輩の水澄。
かつては躍起になって攻撃手にあしらわれていた彼も、
今や冷静に仲間を見て動き動かせる守備の中心。
この母親は彼のかつての素行を許していたタイプですので、
そんな「皆で頑張る!」みたいなノリに従事していること自体不思議なのでしょう。
亜川が言う様に、彼ももう立派なスポーツマン。
宵越たちと同じく熱い思いを胸に秘めながらも、
その心と頭をしっかり分けて冷静に動ける人間になっています。
しかし、さらにその上を行くのが一部の天才たち。
高谷は例えどう攻められようと、
掴む腕を甲で制する形でクリアしてきました。

掴まれる前に落とせばそれでこちらの得点、
後は帰るだけ。
楽な仕事(楽では無い)ですが、
それが通じたのは以前の個人的に勝ちにこだわる水澄だけ。
チームとしての勝利、協力してのクリアを目指す彼は、
自分だけの活躍・行動よりも、自らが布石になる動きを起こします。
意地を見せる場所では見せる、仲間を頼る所では頼る。
思考と反射で判断をし、適した行動をする。
回転を避けられた佐倉からすれば当然の彼の動きですが、
そりゃ恐ろしい。

またそれに合わせて同時に動けている関と宵越というのもね、
彼らの守備としての成長や実力が垣間見えます。
見事策に嵌り捕まってしまった高谷。
宵越と関の二人ともみあいになる様ですが、
ここからでも切り返せるのが彼の恐ろしい所。
この状況から高谷はどう巻き返すのか、
能京は彼を見事潰すことが出来るのか。
次回3月10日更新の後編も目が離せません。
スマホアプリ「マンガワン」では、そんな後編やその先が先読みで公開中。
作者・武蔵野創さんの書き下ろしイラストなどもちょい足しで公開されていますので、
気になる方はそちらもご覧ください。