『心臓に杭を打ちつけて』第28話 あらすじとネタバレ感想~人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった

ジャンプ+にて連載中、大宮嵐さんの
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第28話【目線】
いよいよ始まった文化祭もあっという間に2日目。
本日は広報係となったれもんとファニュは
看板をもって呼び込み中。

主にイケメン吸血鬼を見に来る女子で盛況の2-Cの出し物。
オルと交代したブラムがれもんに声をかけます。
そこに現れたエリーとアーサー。
エリーはともかくアーサーまでと驚くブラムでしたが、
日本を離れるからと素っ気なく返答。

丁度休憩だから案内するよと提案しだすれもん。
それに乗じるエリーに驚く二人に対し、
女子二人はノリノリです。

出店で購入した団子を頬張りご満悦のエリー。
同じくチョコバナナを頬張りご満悦のブラムと共に
小動物の様な愛らしさに。

あっちゃんは食べないの?と
いつも通りフランクに距離を詰めるれもん。
必要ないと一蹴されてしまいます。
そんなアーサーはブラムを見つめ、
すっかり人間臭くなったものだと指摘。
所詮人間との混ざりものだなと侮蔑を並べますが、
彼はそんな言葉では傷つきもしません。
だからなんだと自ら言い返し、
自分自身に自信を持ち答えるのです。

その言葉に、心がときめくれもん。

アーサーは情が移る前にさっさと吸うべきだったのだと
彼の感情移入を否定しますが、
ブラムは、彼のその言葉を否定します。

突然の発言に怒り心頭のアーサー。
何を言っているのか分かっているのかと怒鳴りますが、
ブラムは自らの決意を持って、強く言い返します。

彼の言葉に驚きつつも、少し微笑むエリー。
そんな彼女に私の気持ちは変わらんと詫びるブラムですが、
当主にならないならどの道希望もないと答えるエリーは
涙をこぼしながらも、彼に感謝を述べるのでした。

それを見たアーサーはふざけるなと一喝。
怒りを爆発させブラムに詰め寄ります。

幼き頃より母に叱責され、周囲に蔑まれてきた。
自身の事は自らが一番理解している。
それでも長男として当主となるべく、
期待に応える様、裏切らぬ様、努力を重ね続けてきた。

そんな彼に聞こえてくるのは、
自身の事ではなく三男・ブラムへの周囲の期待。

そしてエリーと初対面の日。
風に当たってくると外に出たアーサーに付いてきた彼女は
早々と歩く彼に付いて行けず躓いてしまいます。
振り向いたアーサーは服について尋ねておきながら
話半分に彼女の言葉を遮り、
政略結婚だと固持し、
同意を求めたが為に頬を叩かれました。
頬を叩かれよろめくアーサーに
大声で自らの気持ちを告げるエリー。
私は恋をして結婚するのが夢だった、
けれども叶わないから、旦那様となる方を愛そうと思った。

彼女の言葉に心打たれるアーサー。
エリーは涙を浮かべながら、走り去ってしまいました。

君は、俺を見ようとしてくれていたのか。
初めて誰かが自分を見てくれた、見ようとしてくれた。
アーサーはその感情に戸惑いを覚えます。
そして、苛立ちをまき散らす様に怒鳴りながら歩くエリーは
感極まり涙を流しながら、運命の出会いを果たします。
果たしてしまいます。

エリーを追い、走るアーサー。
彼の耳に笑い声が届きます。
覗き込んだ先では、エリーの話を聞き笑うブラムの姿が。
余りに腹が立ってと説明するエリーに対し、
下らんなと返すブラム。
他人に左右されるなど愚かにも程がある。
貴様の意思はどこにある。

エリーの心を射抜いたその言葉。
彼女が彼に思いを寄せたその瞬間を、
婚約者であるアーサーは見てしまっていたのです。

華やかな景色のその裏で、
一人の男が絶望に打ちひしがれるのでした。

感想
前回、れもんの想いも決まり、遂に始まった文化祭。
が、いきなり2日目。
……やっぱり佳境なんでしょうか。
1日目はミナとレンフィールドが
来たりとか有ったでしょうに。
れもんとブラムの元に現れたアーサーとエリー。
あくまで連れられてきたアーサーと違い、
エリーさんもすっかり世俗に浸かってしまいました。
なんなのこの推定数百歳、超可愛い。

そして話は本題へ。
ドラクル家長男であるアーサーは家のことが大事。
更にブラムが次期当主となる事に反対していた人物。
そんな彼からしたら次期当主に任命された三男が
人間界でのらりくらりした上、
目標とイチャコラしてるとあっちゃあ
怒るのも仕方ない(笑)
しかも最終的に言い出した台詞が
血は吸わんし当主にもならんと。
放蕩息子か。
ブラムも彼なりに想いと決意が有っての発言ですし、
もちろん彼らの恋愛を応援していますが、
家の事考える長男からしたらたまったものではないですわな。

とまぁそんな家の事よりも彼の心を傷つけ怒らせたのが
自身の婚約者を振った事。
この言葉が物語っていますが、
アーサーは長男でありながら恵まれず、
ブラムは三男でありながら彼の欲したもの全てを手にしていました。
彼が欲したもの。
それは周囲の期待。
当主の座。
そして、誰からも見られない自分を見ようとしてくれた人。
頬を触り落ち着きを取り戻していたのは、
彼女への想い焦がれだったんですね。

良かった、ドラクル家長男ドMの変態じゃなかった(笑)
いや、その実はまだ分かりませんが。
まだ「もう一回叩いてくれ!」と
言い出しかねない雰囲気は有りますよ、いや無いか。
以前エリーがれもんに語ったアーサー、そしてブラムとの馴れ初め。
恋に恋する少女の様な語りではありましたが、
その裏では一人の男が絶望に打ちひしがれていたのでした。
何というか、そんな事も有った上で
アーサーなりにエリーを応援している様でしたが、
その厚意すらも無碍にされてしまっちゃあねぇ。
歯をむき出しにして怒るのも仕方ないよ。

はてさて、次回暴走したアーサーがれもんを襲って
仕方なし魔力を使ったブラムが学校中に見られて正体がバレて
一緒に過ごせなくなってしまうエンドになってしまうのか、
それとも話途中に突然大きな看板が落下してきて
身を挺してエリーを助けたアーサーにときめくのか、
はたまたアーサーが感極まった余り本気泣きしてしまい
エリーの母性をくすぐって何か上手い事行くのか、
楽しみで仕方ありません。
そんな次回更新は6月28日。
アーサーさんには是非とも頑張って戴きたいと思います。
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そんな「心杭」が過去話も含めて配信中。
「何でこんな半端モンが当主やねん!?」と
アーサーが慌てていた第2話は無料で見れますので、ぜひどうぞ。